(2)では、地震で建物が水平に動く時、建物のまわりに設置された擁壁(ようへき)との間にどのくらい余裕があるかを調べた。55棟のうち最低は99.6%だった。100%を超すと擁壁にぶつかることを意味するので、数値は小さいほうがいい。99.6%と100%の差はわずかだ。

 建物が擁壁にぶつかるとどうなるのか。防災科学技術研究所は、震動実験施設「E‐ディフェンス」(兵庫県三木市)で大きな揺れを作り、免震建物を擁壁にぶつける実験をした。柱や梁など建物を支える重要な構造に影響はなかったが、大きな衝撃が発生して家具が倒れ、免震で期待される効果は発揮できなかった。

 免震構造は、役所や病院など地震後すぐに使う必要があり、高い安全性が求められる建物で多く採用されている。倒壊しないことは当たり前で、建物や中の設備が壊れないことまで期待されている。

 第三者委員会は「基準は最低限クリアした」として、東洋ゴムの調査結果を追認したが、副委員長の北村春幸・東京理科大学教授は、こう付言した。

「ずっとこの状態でいいとは思わない。早くゴムを交換して求めていた性能に戻してほしい」

AERA 2015年4月20日号より抜粋