自宅近くの公園に、日中はほぼ毎日いる男性のことが気になっていた。年のころは60代で、女性が近くに越してきた5年半前には、すでに公園に出没していた。近所の人たちは親しみさえこめて「さん」付けで男性に話しかけるが、女性は直感的に「危険な人」「子どもたちに何をするかわからない人」だと感じていた。男性が誰かにからかわれて、キレたようにからかった相手を追いかけたことがある、という噂も聞いた。女性は、2人の子どもに伝えたという。

「◯◯さんがいるからあの公園には行かないで」

 その人に殺されてしまう可能性もあるんだよ。そういう世の中なんだよ。子どもたちには、そこまで話しているという。ちょっと行きすぎかもしれない。だが女性はこう強調した。

「何かあった時に、後悔したくありません」

 もちろん、偏見を持つことはよくない。子ども向け防犯教室を開くNPO体験型安全教育支援機構(東京)の代表理事・清永奈穂さんは、まずは「正しい知識」を伝えることだと助言する。

「障がいのある人は奇声を上げることもあるが、決して襲ったりしないと教えてください。ただし、近寄ってきたり、手を取ろうとしたりされた時は、誰であろうと遠慮せず、『嫌です』『やめてください』とはっきり言って、ということも伝えます」

 同時に、親や子どもの“直感”も大事にするべきだと話す。

「ご近所付き合いがまったくない人を“怖い”と感じたら、その人とは距離を置いてもいいんです」(清永さん)

AERA 2015年4月6日号より抜粋