3Dプリンターでモノを作る個人や「場」が増える中で、大きく変わるのは物流だ。これまでモノの多くは工場で生産され、箱に詰められ、輸送された。しかし今、モノ自体ではなく、データの形で送受信する動きが加速している。

 例えば、スウェーデンの楽器メーカーは部品の3Dデータファイルを公開。ユーザーがデータをダウンロードして出力し、自分でパーツを交換できるようにした。米国ではスペアパーツ専門の3Dプリントサービスが登場。壊れたドアノブや自動車部品などの写真を送るだけで、3Dデータ化してくれる。プリントまで頼んでもいいし、データで受け取り、ユーザーがプリントしてもいい。

 パーツだけでなく商品そのものもデータで買って、消費者は自宅などで出力するというSF的光景も現実味を帯びてきた。それを見越して、フェデックスやUPSなどの運送会社、アメリカ郵政公社やシンガポールポストなども相次いで3Dプリントサービスを開始。あらゆるモノをインターネットで売ってきた米アマゾンは、トラックに3Dプリンターを搭載し、注文された商品を出力しながら配送することを検討中と見られている。

AERA 2015年4月13日号より抜粋