車両正面と天井部の空色は、沿線の空をイメージ。車内も落ち着いたインテリアだ(撮影/編集部・野村昌二)
<br />
車両正面と天井部の空色は、沿線の空をイメージ。車内も落ち着いたインテリアだ(撮影/編集部・野村昌二)

 悲願だった北陸新幹線の開業に沸く沿線地域。このチャンスをものにすべく、地元は意気込んでいる。

 遠い古都のイメージだった金沢が、ぐっと近くなった。東京─金沢を最速2時間28分で結ぶ北陸新幹線の長野─金沢間が14日開業した。記者はそれに先立ち試乗、快適な乗り心地を体験した。車内は全席に電源コンセントが付き、座席の枕部分は上下に動く。トイレにも感激した。洗浄機能つきで、暖房便座まで…。

 もちろん、北陸新幹線の最大の魅力はスピードだ。上越新幹線と特急を乗り継ぐより、約1時間20分短縮される。

 これにより、人の流れが大きく変わり、観光やビジネスで訪れる人が増えると予想される。「100年に一度のチャンス」(谷本正憲・石川県知事)と地元の期待は高い。

「おもてなしに磨きをかける」と意気込むのは、「おもてなしの宿」として知られる和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」(石川県七尾市)の担当者。加賀屋では、宿泊客の増加を見込み、2014年春に例年の倍近い67人を採用、今年も同等数を予定しているという。海外客の増加も予想されることから、客室係や社員は仕事の合間に、英語も学び直している。

 JR金沢駅構内の加賀友禅の店でおススメを聞いたら、

「ハンカチはどうです。着物は値が張りますが、これなら1080円と手ごろですよ」

 この古風で奥ゆかしいところがまた、金沢らしい。

AERA 2015年3月30日号より抜粋