SMEAGキャピタル校自由な雰囲気が特徴。TOEICやビジネス向けコースがある。在籍する約400人のうち4割が日本人留学生。社会人の姿も目立つ(撮影/編集部・鳴澤大)
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SMEAGキャピタル校
自由な雰囲気が特徴。TOEICやビジネス向けコースがある。在籍する約400人のうち4割が日本人留学生。社会人の姿も目立つ(撮影/編集部・鳴澤大)

 いま、英語修業の場として注目を浴びるのがフィリピンだ。朝から晩まで英語漬け、何でもそろう校舎…人気の英語学校を取材した。

 セブを中心にフィリピンで広がった英語学校のルーツはもともと韓国にある。1990年代後半のアジア通貨危機で海外進出の必要性を痛感した韓国人が、自国の学生向けの英語学校を、ここ10年、フィリピンに相次いで設立し、韓国人に合ったスタイルで独自の進化を遂げた。

 業界団体こそないが、関係者によると、フィリピン全体で英語学校は計200~300校あるという。では何が独特か。マンツーマンレッスンが中心なのも大きな特長だ。オプション授業を選べば、朝6時台から夜9時まで「英語漬け」の生活を送れる。

 手間ひまかかるシステムだが、留学費用は安い。食費や寮費を含めても1カ月20万~35万円程度と、英米留学などに比べると格安だ。

 日本からの留学生の増加に合わせ、日本企業が運営する学校の設立も加速した。目立つのは異業種参入やベンチャーだ。 セブなどで2013年から韓国企業と共同でSMEAG英語学校を運営するのはアチーブゴール(東京都)。リゾート会社を辞めて起業したのは渥美修一郎社長(47)だ。取引先から得た情報を手がかりに現地調査し、一念発起した。

 起業に踏み切るにはいくつかのきっかけがあった。一つは40歳の時に乗った客船のクルーだ。ほとんどがフィリピン人だったが、流暢な英語を操るのに気づいた。

「昔、パブで聞いた英語はすごくなまっていた。でも若い世代は発音がいいと感じたんです」

 もう一つは自身の米国留学での苦い経験だ。

「米国ではグループレッスンが基本で、南米系が質問内容にかまわず主張し、その後に欧州系が発言する。講師に指名されてようやく発言するのがアジア系なんです。私自身も話す力が伸びなかった」

 この実体験から、フィリピンのマンツーマンレッスンは日本人にぴったりだと感じたのだ。

 重視するのは、利便性だ。現在セブで運営する3校のうち、自由な雰囲気が売りの「キャピタル校」にはビジネスコースを設け、日本人コックを招いて、メニューに和食も導入した。留学生同士が語り合えるスポーツバーもあるほか「数日後にはマッサージ店が開店しますよ」。この春にはさらに歯医者、パン屋もオープン予定だ。渥美さんは言う。

「日本人の留学は今後増える。放課後、外に出るのは自由ですが、校舎内でなんでも間に合うサービスを目指しています」

AERA 2015年3月2日号より抜粋