バリバリ働く男女の一人暮らしは洗濯もままならない。親と同居でも、介護など悩みは尽きない(撮影/写真部・植田真紗美)
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バリバリ働く男女の一人暮らしは洗濯もままならない。親と同居でも、介護など悩みは尽きない(撮影/写真部・植田真紗美)

 誰しも多かれ少なかれ抱く、老後の不安。安心して過ごすために不可欠なのは健康だ。フリーランスならなおさら、健康管理は重要になる。

 全日本病院協会の調査(2004年度)によると、高齢者の年間医療費は65歳以上で67万3千円、75歳以上で86万1千円と増加する。年齢が高くなるにつれ、高血圧症や糖尿病などの慢性の疾患が多くなり、病気やけがをしている人が多くなるためだ。

 著述業の男性(53)は今年4月、血圧が200を超え即入院。腎不全が発覚した。現在週3回、人工透析を受ける。

「高額療養費の特例として負担額は月1万円が上限。助かっています」

 男性は大学時代から執筆活動を始め、さまざまな雑誌に映画評論を書いたり放送作家としてテレビ局に出入りしたり。30代は年収2千万円くらいあった。ところが、42歳で離婚。自身に非があったため慰謝料として800万円支払った。ストレスなのか不摂生なのか45歳で胃潰瘍、48歳で脳梗塞で倒れた。胃潰瘍は2回患った。治療費は1回15万円くらいだった。

 生命保険は保険料を払えなくなり解約。現在は老後の蓄えどころか貯蓄ゼロ。仕事もあまりなく、収入は「6万1千円の家賃が今月も払えてよかった、という程度」と話す。

「老後どころか今も不安。一番心配なのは、透析患者は長生きができるらしいこと。病院へ行けば必ず『お変わりないですか』と聞かれますから。両親は60代で死んだので、自分が長生きするなんて考えていなかった」

AERA  2014年12月15日号より抜粋