「海外企業のインターンでは珍しい額ではない。もっと高給なものも多くあります。世界標準に合わせつつ、地方在住者など経済的な理由で参加できない学生を少なくしようと考えて金額を設定しました」

 学生は、どう動けばいいのか。

 大手ナビサイトは企業の採用広告の集合体だから、オープンは来年の3月。それまでは、水面下での企業と学生の直接接触が基本になる。

 前出の曽和さんは言う。

「リクルーターやインターンで、春までに採用のめどをつける企業も多い。ふたを開けてみれば、3月の広報開始の時点で採用枠のかなりの部分が埋まっている可能性が考えられます」

●学歴の壁も超えられる

8月の面接開始時点にはさらに枠が埋まっていて、あとは意思確認だけという企業も出てくるだろう。

 学生は、なるべく早く動き始めることだ。エントリーだけして連絡を待つ受け身の姿勢ではなく、表には出てこない人事の動きに自ら引っかかるようにしなければならない。

 こうした状況を、「学生にとってチャンスだ」と指摘するのは、一橋大学キャリア支援室の西山昭彦特任教授だ。

「インターンは、面接による選考よりも接触時間が長いため、能力や内面をじっくり見てもらうことができます。就活に自信がない人こそ、インターンに応募しましょう。本選考より粗削りなエントリーシートを提出する学生が多いので、いまのうちに書類作りに磨きをかけておくと、さらに一歩リードできるかもしれません」

 選考期間が短くなることで企業が効率重視に傾き、「ターゲティング」が強まって上位校の学生ほど有利になると言われてきたが、直接接触で内面を認めてもらえれば、学歴の壁は乗り越えられる。

 リクルートキャリアの岡崎仁美・就職みらい研究所所長も、

「求人倍率も増加傾向にあり、学生にとってチャンスが多くなるでしょう」

 と話す。

 もし、あなたが大学生で、後ろ倒しと好況感でのんびりしているなら要注意だ。「数を埋めるために誰でもウェルカム」というモードではないので、そこを勘違いすると痛い目を見る。

 筑波大学3年生の索手(なわて)一平さん(21)は、5月に就活を開始。インターンに参加したり、イベントで知り合った人事担当者を通して会社訪問したりするなど自らアクションを起こして、人気メガベンチャーに内定した。決してレアケースではない。超売り手市場のエンジニア職や外資系企業では、すでに内定を得ている学生が一定数いる。

「早く動いて企業をよく知る期間を作れたからこそ、働くビジョンが見えて、内定につながったのだと思います」(索手さん)

 企業が欲しがるのは、こういう人材。岡崎さんもやはり、こうアドバイスしてくれた。

「インターンやOB訪問などで少しでも早く積極的に社会人と会うことが、今年の就職活動のキーポイントです」

AERA 2014年12月22日号より