ブライアン・オーサー1961年、カナダ生まれ。フィギュアスケート男子シングルで、サラエボ五輪、カルガリー五輪2大会連続銀メダル。「ミスター・トリプルアクセル」と呼ばれた(撮影/写真部・堀内慶太郎)
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ブライアン・オーサー
1961年、カナダ生まれ。フィギュアスケート男子シングルで、サラエボ五輪、カルガリー五輪2大会連続銀メダル。「ミスター・トリプルアクセル」と呼ばれた(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 スペイン・バルセロナでのグランプリファイナルで2連覇を果たした、羽生結弦(はにゅうゆづる)。コーチのブライアン・オーサーがNHK杯後、AERAの取材に、羽生の様子などについて語った。

 6戦のうち2戦に出場してポイントを争うグランプリシリーズで、ファイナルに出場できるのは上位6人。中国杯2位、NHK杯4位という結果を受け、羽生は6番目という成績で滑り込んだ。

 NHK杯からスペインで行われるファイナルまでの準備期間は、移動日を除くとわずか7日間。現地練習を入れても10日間しかない。オーサーは、万全の計画を練っていた。

「とにかくハードに練習するほかありません。私自身はハビエル・フェルナンデスの練習を見るためにトロントに帰り、結弦は仙台で練習します。結弦もトロントのほうが周りを気にせず練習に集中できるのですが、スペインでの試合前にトロントに移動する時間さえもったいない。だから私は、結弦の10日間の練習のための細かい計画表を作りました」

 ずばり「結弦のスケジュール」とタイトルを付けた計画表には、「これをやれば、身体にこたえるけれど、やり切った時にすごく力を感じると思うよ。トレーニングを信じてね」と書き添えられていた。

「かなりつらいメニューです。毎日2時間、濃密な内容にしました。スケーティングとステップは何分ずつ、3回転+3回転の連続ジャンプは何回、4回転を何回、などと、すべて細かく決めました。これをこなすだけで、2時間はあっという間に過ぎるでしょう。これまで以上にハードな練習計画です」

 そして、続けた。

「結弦は、私が作った計画表をもらうのを楽しみにしているようでした。グランプリファイナルの連覇が今年の目標の一つだったので、自分を厳しくトレーニングに向けていくでしょう。彼は、私がいなくても自分を追い込める人。自主的にやらせたほうが、効果があります。ここからのシーズン後半、再び自分が王者であることを証明していくことになるでしょう」

 この言葉通りの結果になった。

AERA 2014年12月15日号より抜粋