パナソニック グループマネージャー山田由佳さん(50)捨てられている熱や二酸化炭素をエネルギーとしてリサイクルする研究に取り組む。研究者に必要なのは楽観的な性格という(撮影/瀬川茂子)
パナソニック グループマネージャー
山田由佳さん(50)

捨てられている熱や二酸化炭素をエネルギーとしてリサイクルする研究に取り組む。研究者に必要なのは楽観的な性格という(撮影/瀬川茂子)

 部下のモチベーションに大きく関わる上司の言葉。ブルーな気分で終わったプレゼンも、上司のこんな言葉で励まされることがあるようだ。

 本当にできると思っているのか――。新しい発光素子開発の計画を認めてもらおうと開いた社内会議。張り切ってプレゼンしたのに、厳しい意見が相次いだ。否定的な言葉が突き刺さる。最後にようやく、「試しに半年くらいなら」と言われたが、認められた気がしなかった。

 パナソニックR&D本部先端技術研究所グループマネージャーの山田由佳さん(50)は、30代の体験を振り返る。そんなブルーな山田さんの見方を変えさせたのが、上司の一言だった。

「会議は成功だ」

 確かに、計画がつぶされたわけじゃない。でも……。上司の言葉は続いた。

「本当に新しいことをやるなら、多数決で決まるようなテーマはやるな」

 できるはずないと多くの人が思うなら、他社も難しいと考えて躊躇するはず。いち早く取り組めば、「世界初」の大成功につながるチャンスになる。10人中8人に反対されるようなテーマに果敢に挑むことこそ、研究の醍醐味と悟った。上司の言葉を胸に刻み、いま部下に同じような言葉をかける。

AERA 2014年7月21日号より抜粋