純粋な学歴か、それとも課外活動などの実績か……就職の採用で何が重視されるかについては、様々な説がある。しかしここにきて、ある傾向が強まっているという話も。

 企業の採用活動と学歴は、常に互いの距離を変化させながら「蜜月」を続けてきた。

 かつては明確な「指定校制度」を設けて、おおっぴらに学歴でフィルタリングする時代があった。しかし、バブルで採用数が増え、エントリーシートを使ったオープンエントリーが一般的になったことで、指定校制度は廃れていった。人事に詳しいHRプロの寺澤康介社長は言う。

「確かに、『東京大学の法学部から5人は絶対確保』『早慶しか採らない』というような厳しさは薄れています。でも、大学生の数が増えた分、例えば『六大学より上』というような大学ターゲティングは、むしろ強まっている。一定ラインより上の大学なら、人柄重視でフラットに採用することも多いようです」

 一部では大学名だけではなく学部や学科名、具体的に何を学んできたかというところまでターゲットを細分化しているところもある。理系では、特にその傾向が顕著だという。

 書類を手書きしていた時代と違って、現在はインターネットを使えばクリックひとつでエントリーできる。人気企業には応募が殺到し、選考する企業の側は、どこかで線引きをしないと対応しきれない。マイナビ編集長の三上隆次氏は分析する。

「選考活動は2016年度入社の採用から、大学4年の8月解禁になります。10月の内定式まで2カ月しかなく短期化するため、企業は必然的に、ターゲット校をより絞らざるを得ないでしょう」

 応募者が殺到する超大手は採用期間が短い分、例年より絞る。今まで超大手の採用が終わるのを待ってから採用活動をしていたそれ以外の企業は、リクルーター制を導入する可能性が高いという。

AERA 2014年6月16日号より抜粋