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日本の五輪プレゼン 勝因は「カジュアルさ」にあった

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戦略コンサルタントニック・バーリーさん(46)東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会戦略コンサルタント。著書に『世界を動かすプレゼン力』(NHK出版)がある(撮影/今村拓馬)

戦略コンサルタント
ニック・バーリーさん(46)

東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会戦略コンサルタント。著書に『世界を動かすプレゼン力』(NHK出版)がある(撮影/今村拓馬)

 五輪招致のプレゼンで日本は高い評価を獲得し、6年後の東京五輪が決定した。グレーのスーツで、お辞儀をしながら名刺を交わす。何をするにも「偉い人」から順番に。丁寧だがどこか面白みに欠ける日本人が、世界最大のセールスプレゼンを勝ち取ったのは、少しばかりの「カジュアルさ」にカギがあった。

 2020年東京五輪招致プレゼンを指導したニック・バーリーさんは、最終プレゼンの構成で、ひとつの大きな決断をした。日本のプレゼンや会議では、通常職位の高い人から口火を切る。日本の伝え方に「フォーマル」なイメージをもつ審査員は、お堅いスーツの男性が登場すると思っていた。

 しかし、プレゼンの世界標準は「カジュアルでエモーショナル」。ニックさんは、トップバッターに7人のプレゼンテーターの中で若い佐藤真海さんを起用した。

「世界のプレゼンスタイルに合わせ、トップバッターは、若手で笑顔が光る女性がいいと思った」(ニックさん)

 ニックさんは、東京を含め6都市からプレゼン指導のオファーを受けた。その中から、国際標準と「真逆」のプレゼンをする日本を選んだのは、「カイゼン」する姿勢があったから。でも、壁もあった。

日本人は、世界が見つめる日本を知らなすぎた。例えば神社や茶道などの伝統文化は、日本の強みだ。でも審査員は、それらが最先端の新幹線やロボットと共存する点に興味をもつ。プレゼン相手である審査員を知り、「審査員が知りたい日本」をアピールした。

 ドーピングを心配する審査員には、「ドーピングで失格になった日本人選手はいない」ことを伝えた。また五輪の若者離れが問題視されていることを知り、「サッカー選手のメッシやカカが、日本のアニメヒーローから刺激を受けた」ことも。グルメな審査員に向けて「東京はミシュランの星がいちばん多い都市である」とも添えた。

 ちょっとしたサプライズも設けた。5番目に登壇した滝川クリステルさんは突如、流暢なフランス語で審査員に語りかけた。「外国語が苦手」という日本人のステレオタイプを、いい意味で裏切った。サプライズは、フォーマルな日本のプレゼンには必要ないが、審査員の心はつかむのだ。

「日本人らしさを残しながら、グローバルなカジュアルさも取り入れる。そんなプレゼンスタイルが、6年後に世界の中心となる日本人に求められていると思います」(ニックさん)

AERA  2014年4月28日号より抜粋


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