企業価値検索サイト「ユーレット」を運営する西野嘉之さんは「就業者が多いモノづくりやサービス業に携わる人たちは生産者であり、消費者。この人たちの年収が上がれば、内需も活性化する」と説く(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・松永卓也)
企業価値検索サイト「ユーレット」を運営する西野嘉之さんは「就業者が多いモノづくりやサービス業に携わる人たちは生産者であり、消費者。この人たちの年収が上がれば、内需も活性化する」と説く(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・松永卓也)

「年収1千万円」。転職や結婚という人生の節目で、意識するベンチマーク。実際の1千万円プレーヤーはどんな人生を送っているのか、取材した。

 あるヘッドハンターによると、ゴールドマン・サックス証券やマッキンゼー・アンド・カンパニー、シスコシステムズといった外資の雄に勤める人材には、「転職を繰り返し、30代で2千万円超えを果たす『年収わらしべ長者』がゴロゴロしている」という。

 ただ、その代償は小さくない。激務で体を壊す人もいる。ストレスも大きい。仕事への満足度を尋ねると、生活や年収よりも低い値になる。仕事に満足している人は43%だった。

 また、1千万円プレーヤーとなっても、将来不安を感じる人は68%。それは「終身雇用」が約束されない社員が多いことの裏返しだろう。加えて実感として、生活レベルがそれほど高くなりにくい、という現実があるようだ。

「家計の見直し相談センター」のファイナンシャルプランナー、山田和弘さんはこう話す。

「年収1千万円の層は、ちょっと背伸びして家を買ったり、子どもを私立中学に通わせたりして、かえって家計が苦しくなることも。可処分所得に比べて出費が多くなりがちで、自由に使えるお金が意外と少ない」

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