(撮影/写真部・慎芝賢)
(撮影/写真部・慎芝賢)

 スマホやパソコンの普及にともない、それに依存してしまうという新たな問題が生まれている。

 厚生労働省の研究班は、パソコンやスマホで情報交換やゲームに没頭して昼夜逆転、学校に行けなくなるような「ネット依存」の中高生が全国に推計で52万人いると昨年夏、発表した。中学生の6%、高校生では9%にも及ぶというのだ。

 ある高3の男子はオンラインゲームに24時間ログインし12~14時間プレーしていた。当初は時々遊ぶ程度だったが、高2ごろから部活の人間関係に悩み、ストレス発散のためにゲームにのめり込んで昼夜逆転。遅刻が増え、寝不足で授業に集中できず、優秀だった成績は一気に下降。そのうち学校に行こうとすると頭痛や吐き気がして、家に引きこもるようになった。

 研究班メンバーで国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は、「ネットの過剰使用で、昼夜が逆転して睡眠障害になり、会社や学校へ行けなくなってしまう例は多い。一日中部屋にこもってネットをして、手以外はほとんど動かさないため筋力や骨が衰え、体力が低下したり、子どもの場合は発育に影響することもあります」と話す。樋口さんはネット依存調査に下記のチェックリストを用いる。

□自分がネットに心を奪われていると感じますか(例えば前回ネットでしたことを考えたり、次回ネットをすることを待ち望んでいるなど)

□ネットを使う時間をだんだん長くしていかないと満足できなくなっていると感じていますかネットの使用を制限したり、完全にやめようとしたりしたけど、うまくいかなかったことが何度もありましたか

□ネットの使用を制限したり、完全にやめようとしたりすると、落ち着かなくなったり、機嫌が悪くなったり、気持ちが沈んだり、イライラしたりしますか

□使い始めに考えていたよりも、長い時間をオンラインの状態で過ごしていますか

□ネットのために大切な人間関係、仕事、勉強や出世の機会を失いそうになったことがありますか

□ネットへの熱中のしすぎを隠すために、家族、治療者や他の人たちに対して嘘をついたことがありますか

□問題から逃れるため、または嫌な気分(無気力、罪悪感、不安、落ち込みなど)から解放される方法としてネットを使いますか

「8項目中3項目当てはまるとネット依存の入り口、5項目以上はネット依存状態にあります。通勤電車や食事中もスマホが手放せない人はネット依存予備軍だという意識を持った方がいい。ネット依存を軽視せず、できるだけ早く対策を取ることが大切です」

※AERA 2014年2月3日号より抜粋