一緒にいる時間が長くなると遠のくセックス。セックスレスを防ぐために実は有効なのが、視線を交わすことだという。

 性セラピストで鍼灸・気功師でもある玄斎氏は、30年にわたる東洋医学的治療の知見から、セックス時の感性を高める、二つのポイントがあると指南する。

「まずは見つめあう。目は皮膚から飛び出した脳と言われるほど、多彩な情動を生む器官です。相手の顔を見ずにセックスしていませんか? ふだんとは違う相手の繊細な表情を目から脳へと伝えることで、胸を揺さぶられるような官能的な気分になれるはずです」

 セックスを意味する「まぐわい」という言葉は、「目合ひ」と書く。見つめあうことで、ふたりだけの妄想世界の扉が開いていくのを、日本人は古来楽しんでいたのかもしれない。

「そして、とにかく、長くじっくりと肌を合わせておくことですね。人には人肌でしか癒やすことのできない孤独感が、必ずあります。それを最初に取り除いておくと、純粋で豊かな性感が姿を現します。愛撫テクニックだとか体位だとか、そんなことより何より重要なことだと言えるでしょう」

 女性の場合はとくに、オーガズムを得るために肉体的に必要なのは、全身を温めて血行をよくしておくこと。血行促進やスキンシップの面でも2人でツボのマッサージをしてはどうだろうか。

 心を許した相手にこそ、女性の体は開かれていく。その姿に、男性もいっそう燃えていく。最後に相手への感謝が生まれるようなものであれば、性行為は性愛行為へと進化する。

AERA  2013年12月2日号より抜粋