アラフォー女子が集まると話題に上る卵子老化。その現実に抗うべく、本誌記者が体験取材を試みた。

*  *  *

 私事で恐縮だが、記者は35歳、独身、彼氏なし。世のアラフォー女性と同様、卵子の曲がり角に立つ一人だ。昨今話題の、加齢と共に卵子の老化が進むという現実にたじろぎつつ、今できることはないか、探し歩いた。

 そもそも卵子の老化とはどういうことなのか。卵子を作る卵巣機能を測れる検査があると聞き、東京都足立区の「臼井医院・不妊治療センター」を訪ねた。

 同センターの臼井彰院長は卵巣予備能テスト「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」を国内でいち早く導入した。卵子のもととなる卵胞が成長する過程で出るホルモンの血中濃度を測ることで、卵巣の状態を推し量れるという。不妊治療の一環で行われるため通常、同センターでは未婚者は受け付けていないが、特別に検査してもらった。

 採血後、臼井院長が2006年から約5年間、23歳から50歳の女性約1400人のAMH値の経年変化を調査したと聞き、素朴な疑問をぶつけた。

「先生、実年齢より卵巣年齢が異様に若い『卵巣・美魔女』っていたのでしょうか?」
「残念ながらほぼいませんでした」(臼井院長)

 年齢、出産の有無にかかわらず、年々数値は減少したという。

「卵は必ず減っていくということを理解してください」

 臼井院長によると、一般的に卵胞数は胎児の時点がピークで約700万個。誕生時に100万個、初潮時で約30万個にまで減り、その後は毎月、1個の排卵のために約千個を消費しながら、よりよい卵子を選別する。

 残りの卵胞が約2万5千個になった時点で、卵巣が一回の排卵に使う卵胞数を減らす「出し惜しみ」を始め、その年齢が一般的に37歳前後のため、昨今言われ始めた卵子の老化年齢の目安に37歳が使われているという。ただ減り方には個人差もあり、まれに20代でその時期を迎える人もいるとのこと。

 1週間後に検査結果が出た。数値は7.33ナノグラム。年齢の平均値より2倍近く多い。

「やだ、先生。私、卵巣・美魔女ではないですか?」はにかみながら聞くと、「残念ながら違います」

 この数値は平均値より多すぎても少なすぎてもよくないという。記者のように多すぎる場合、在庫はあれど排卵しにくい「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群」の可能性がある。

AERA 2013年8月5日号