「メディアライブラリーCELL」。CELLとは細胞の意味で、人の活発な往来を意図したという。書架を低く抑えることでより開放的に(撮影/写真部・慎芝賢)
「メディアライブラリーCELL」。CELLとは細胞の意味で、人の活発な往来を意図したという。書架を低く抑えることでより開放的に(撮影/写真部・慎芝賢)

 近年、大学の図書館が進化を遂げている。オシャレな外観はもちろんのこと、機能面でも工夫が凝らさたものも多い。

 2007年に開館した大手前大学(兵庫県西宮市)のさくら夙川キャンパスにある図書館は、「CELL」の通称で親しまれる。打ちっ放しのコンクリートとガラス張りの壁がモダンな印象。館内は天井が高く開放的だ。最大の特徴はcellsと呼ばれる小教室で、ラーニング・コモンズの拠点となっている。

 cellsは館内側と館外側に二つ出入り口があり、図書館の外と内をつなぐような形で配置されている。図書館閉館後や休館日でも、外側から出入りし、空いていればいつでも自由に使うことができる。16教室あり、おもに1室12~13人で利用できる。使い方も自由で、写真や美術のサークルが作品の展示に使用することもある。現代社会学部3年生の橘木隆旺さんはこう評価する。

「ゼミの打ち合わせや授業の延長でよく利用しています。学生ホールでは、勉強の話をするとまじめぶっているようで周囲から浮いてしまう。ここなら気兼ねなく議論できます」

 同大の特徴は、学習支援機能やくつろぎの場が図書館に集約されていることだ。学習支援センター、資格サポートセンターが常設されており、カフェが併設、屋上には庭園もあり、学生の息抜きの場になっている。

「本学にとって図書館は、キャンパスの中心街のようなもの。なんとなく足を運ぶ学生も多い。スタッフも、この環境を利用して、手書きポップをつけた推薦図書を展示するなど、学生に本を読んでもらえるような工夫を凝らしています」(守屋祐子・図書館事務室長)

AERA 2013年7月15日号