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PTSD ベトナム戦争で多く、震災で少なかった理由

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 日々ストレスにさらされることの多い現代人。このストレスの軽減方法を、意外な道のプロに聞いてみた。

 陸上自衛隊のコンバットストレス教官で、『心の疲れをとる技術』などの著書がある下園壮太さん(53)は疲労のコントロールの重要性を説く。

「休養することは頑張ること以上に必要な『仕事』なんです」
 
 20年ほど前、自衛隊が米軍と合同訓練をしたとき、米軍は2チーム作って交代シフトを組んでいた。一方、自衛隊は「気合」で乗り切っていた。だが、災害救助に休憩はない。自衛隊も組織としてパフォーマンスを落とさないよう、業務予定表にあらかじめ疲労回復の時間を入れ込むようになった。災害派遣など過酷な現場で休養が難しいこともあるが、それでも「消耗し尽くさないために、少しずつでも寝なければならない」。

 東日本大震災では自衛隊史上最大の10万人という編成規模で行方不明者を捜索し、被災者の生活支援や福島第一原発での放水活動などを行った。派遣された隊員の惨事ストレスで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる隊員が増えると想定し準備していたが、実際はほとんどいなかったという。下園さんはその理由をこう説明する。

 ショッキングな出来事は、その後の解釈情報が加わってトラウマになる。例えばベトナム戦争では、米兵は国のためにと思って戦ったのに、帰国後に激しい反戦運動を目の当たりにしてPTSDになる人が多かった。一方、東日本大震災の活動では現場は確かに過酷だったが、隊員たちは国民から評価、感謝されて充実感を得たため、ストレスを過剰に背負いこまなかった。

 ストレス理論に「努力─報酬モデル」という考え方がある。一生懸命やった努力が報われればストレスはたまりにくいが、モデルが崩れ、努力した分の報酬が得られないとストレスは過大になって跳ね返る。横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師は、

「『ありがとう』『助かったよ』など、お金以外の報酬も十分にストレスの緩衝要因になる」

 と言う。

AERA 2013年4月22日号


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