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ストーカー「危険度判定」に期待と懸念

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 全国にあまたあるストーカーや家庭内暴力(DV)被害の訴え。その深刻さを見極め、効果的に対応することで、凶悪犯罪を防げないか。警察のそんな思いと、ストーカーや性犯罪者らと日々向き合い続ける専門家の知見が、ひとつの取り組みを生み出しつつある。

 それが、ストーカー・DV加害者の「危険度判定」だ。

 警察に被害を届けた人が、任意で協力する。用紙に列記された加害者と被害者の特徴について、「よく当てはまる」「たまに当てはまる」「当てはまらない」などの五つから近いものを選ぶ。プログラム開発の中心となった精神科医で性障害専門医療センター(SOMEC)代表理事の福井裕輝さんによると、最新版では、「侮辱されたことを根にもつ」「すぐ声を荒らげる」など加害者について39項目、「相手が悪いのに謝ってしまう」など被害者に関して13項目がある。

 警察官は、回答をパソコンに入力するとともに、犯罪歴など6項目を追加入力。すぐに、危険度が「低度」「中度」「高度」「極めて高い」の4段階で判定される。危険度は回答の組み合わせで算定するため、単純に「当てはまる」の数に比例しないという。

「被害妄想や虚偽の訴えも、ほぼ見分けることができます」(福井さん)

 ストーカー事案は2001年以降、毎年1万件を突破。昨年は1万9920件に急増し、過去最高を更新した。警察庁によると、過去5年間で命を奪われた被害者は7人に上る。

 これらの深刻な被害が、加害者の危険度判定と、それを活用した警察の動きによって減るかもしれない。そんな期待の一方で、懸念もある。

 まず、判定結果が正しくないこともあり得る。実際は危険度が低い「加害者」が高危険度とみられ、警察によって実質的に監視されるなどの人権侵害が起こることも考えられる。

 判定が正しいとしても、難問は残る。危険度が高いことを理由に拘束などの犯罪防止措置を取る「保安処分」は、日本では認められていない。高危険度ケースで人権に配慮しながら、被害を訴え出た人に危害が及ばないようにするという、高度な対応が警察に求められる。その過程で、犯罪を起こしていない人を犯罪者のように扱うなどの「行き過ぎ」が生じる恐れもある。

AERA 2013年4月1日号


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