近年、子どもの便秘が問題になっている。日本トイレ研究所と王子ネピアの共同調査では、首都圏の22の小学校の1~3年生1579人のうち、「毎日排便している」と答えたのは4割弱。一方、「3日以上連続で排便がない」は1割で、「7日間で一度も排便がない」児童も約1%(20人)いた。

 さいたま市立病院小児外科に「小児排便外来」を開設した中野美和子医師が来院患者を分析したところ、518人のうち9割弱が慢性の便秘だったという。

 問題は小児の場合、便秘が病気という意識がないことだ。慢性便秘が改善すると、「おなかがスッキリして、学習面の集中力も戻る」(中野さん)

 初期の便秘は食事の偏りや運動不足などの生活習慣、精神的ストレスなどから起こる。子どもの便秘は、大人になる過程で自然に解消していく。だが、生活習慣による“便秘グセ”は治りにくい。大人になっても慢性便秘で悩む原因になる。

 便意を我慢することも、便秘のきっかけになりやすい。

 どうして我慢するのか。昨年、小林製薬が小学生の排便実態を調べたところ、学校でうんちを我慢した理由は「恥ずかしい」「いじめられそう」だけでなく、「トイレがくさい、汚い」といったトイレ環境にも関係があった。回答者の6割は「またげない、しゃがめない」「便器の周りが汚い」「便器に落ちそう」といった理由で和式トイレがうまく使えず、困ったことがあった。また同じ調査で現在、小学生の自宅の98%が洋式トイレであることもわかった。

AERA 2013年3月11日号