好きで夫婦になったはずなのに、いざ一緒に暮らし始めてみると、細かい生活習慣の違いが気になって仕方ない。たかが、といえばそれまでだが、小さな不満が結婚生活をおびやかす。

 マミコさん(35)は、夫が食後にテーブルを拭いているのを見て、「あら、珍しい」と思った。だが次の瞬間、イラッ。拭いているのは、自分の席の前だけ。なんで全部を拭かないわけ!

「子どもにごはんをあげているのは私。どうして汚れているはずの私の前を拭かないのか。しかも夫は、実家に帰ったときだけかいがいしく、義母を手伝って食器下げたり、洗いものをしたりする。呪いたくなります」

 ユウコさん(37)の七つ年下の夫は調理師。仕事柄もあるのだろうが、賞味期限に異様に神経質。豆腐や卵は、一日でも賞味期限を過ぎていたら、「これ捨てるよ」と容赦なし。「火を通せば一日くらい平気だって」と止めてもダメ。恐怖は夫が思い出したようにする冷蔵庫チェックだ。開けてちょっと日がたったドレッシングやソースなどの調味料を捨てていることも。こちらは“ある”つもりでいるから、いざ使おうと思ったときに、なくて焦ったことは数知れずだ。

 夫の家事・育児への無関心・非協力は最大のイラッとポイントだが、夫側は妻の「口うるささ」「細かさ」が最大のイライラポイントだ。

 IT企業に勤めるコウタさん(32)は、結婚3年目。通勤ルートにスーパーがあるので、妻からは会社帰りにちょっとした買い物を頼まれる。先日も、「お塩を買ってきて」と言われたので、食卓塩を買って帰ったら、

「うちはいつもアルペンザルツの岩塩を使ってるじゃん!なんでこんなの買ってくるの!!」

 こだわりがあるなら、自分で買ってくれ!

 要は夫も妻も、言いたいことは「もっと自分の気持ちをわかって」に尽きる。新婚時代には気にならなかった言動も、ガマンできたひと言も、共同生活が長くなれば、より快適な暮らしを求めたいのが人情。だが、できれば自分の土俵に引きずり込みすぎないのが円満の秘訣のようだ。

AERA 2013年2月18日号