料理研究家・コウケンテツ初の旅エッセイ アジアの家族と過ごした日々と再現レシピ51品を収録 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

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料理研究家・コウケンテツ初の旅エッセイ アジアの家族と過ごした日々と再現レシピ51品を収録

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『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』コウケンテツ 新泉社

『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』コウケンテツ 新泉社


 韓国料理の紹介を中心に、テレビや雑誌などのメディアでも活躍する料理研究家のコウケンテツさん。これまでに世界30か国以上を旅行し、世界の家庭料理を学んだ経験があるといいます。本書『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』は、コウケンテツさんがこれまで旅したアジアの国々で、現地の家族との思い出を綴った初の旅エッセイ&レシピ集です。


 「アジア」と一口に言っても、その範囲はとても広く、本書では台湾、ラオス、マレーシア、タイ、インドネシア、韓国、ブータン、スリランカなど、さまざまな国を舞台に多種多様な料理が登場します。私たちになじみのない異国らしさ満点の料理に想像力が掻き立てられ、興味をそそられるでしょう。


 たとえば、乾物街で有名な香港の上環でコウケンテツさんが出会ったのは「咸魚(ハムユイ)炒飯」なる一品。咸魚とは、釣り上げた魚を塩漬けで半発酵させ、そのあと天日干しにしたもので、発酵食材フェチのコウケンテツさんにはたまらない香りなのだといいます。炒飯を作る際に必見なのは、ごはんの使い方。「一晩冷蔵庫に置いたごはんをなんと水洗いし、水気をきる。こうすることでパラリとなり、咸魚の旨みをしっかり吸う」(本書より)のだそうです。


 ......聞いているうちに、食べてみたくなった人も多いのではないでしょうか。本書の最後には各料理のレシピも載っているので、自身で作ることも可能です。しかも、どれも日本で用意しやすい食材にアレンジされているのがうれしいところ。先ほどの咸魚炒飯であれば、咸魚はアジの干物と鶏もも肉に代用、調味料もしょう油や紹興酒(なければ日本酒)などを使用し、日本の家庭でも再現しやすいよう工夫されています。


 ほかにも本書には、鉈で叩いた骨入り鶏ミンチを炒め煮にした「ジャシャマル」(ブータンのパロ)、紫山芋の紫色が美しいすり流しスープ「カイン ホアイ モー」(ベトナムのロンアン)、カレン族の伝統料理として作られてきた焼きナマズの冷たいスープ「ゲーン イェン」(タイのメーアイ)といったマニアックな料理から、シンガポールの国民食である「シンガポールチキンライス」(シンガポール)や、コウケンテツさんが雨の日に焼きたくなるという「チヂミ」(韓国・クムサン)といった日本でも人気の定番フードまで、全部で51品のレシピが収録されています。


 各料理にまつわるエッセイがまた、現地の人々との会話や情景が旅情感たっぷりに描かれていて魅力的です。コウケンテツさんの語り口から、アジアの人々のおおらかさや自由さが伝わってきて、ほんわかと温かな気持ちで満たされます。


 読んでいるうちに、自分もアジアの台所に立ち、一緒に料理をしているような気分になれる本書。実際に海外旅行に出かけられる日はもう少し先になりそうですが、本書で疑似旅行を楽しみながら心の翼を広げてみてはいかがでしょうか。


(文・鷺ノ宮やよい)


(記事提供:BOOK STAND)

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