AI(Artificial Intelligence)とは、日本語で「人口知能」の意味。AI技術が身近になった今、「AI社会になって職を失うのでは?」「文系の私がAI人材になるにはどうすれば......」と気になっている方もいるのではないでしょうか。そんな不安や疑問を解消してくれるのが、本書『文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要』です。
 AIの世界は理系の人間にしか通用しないと思われがちですが、「AIをどう作るか」よりも「AIをどう使いこなすか」が大切であり、そこで重要になるのがビジネスの現場も知っている文系AI人材なのだと著者の野口竜司さんは言います。
 たとえば、文系・理系問わずビジネスで当たり前のように使われているExcel。野口さんは「AIはExcelくらい誰もが使うツールになる」と記載しており、この言葉を聞くと文系の人もAIを使用するイメージがしやすいかもしれません。
 では具体的に、文系AI人材にはどのような仕事があるのでしょうか? 野口さんによると「理系AI人材がやらない、AI活用に必要なすべての仕事」(本書第2章より)が発生してくるとのこと。
 たとえば、AIを構築するプロジェクトマネジメント全般や構築済みAIサービス選定でどれを使うかの検討、AIの現場導入とAIの利用・管理など。つまり「AIと働くチカラ」が必要となってくるわけです。これにはまず「AIのキホンを知り、AIの作り方を知り、AIをどう活かすか企画する力を磨き、AIの事例をトコトン知ること」が欠かせないと野口さんは書いています。
 本書にはそうした「AIと働くチカラ」を養うための術も満載。第3章では「AIはキホン丸暗記で済ます」、第4章では「AIの作り方をザックリ理解する」といったふうに、文系AI人材が知っておくべき情報が載っています。
 続く第5章のタイトルは「AI企画力を磨く」。基本の知識を頭に入れるのとは違い、自身で企画を生み出すのはまた一段、ハードルが高く感じる方もいるかもしれません。しかし本書では、企画アイデアを具体化するためのコツについても図を交えて解説しているので、実践トレーニング本としてスキルを高めていけそうです。
 そして第6章「AI事例をトコトン知る」では、事業別×活用タイプ別の45の事例を掲載。たとえば「ZOZOUSED、古着の値づけにAIを導入」「日経、100年分の新聞記事をAIで読み取り。精度95%」など、昨今のAI事情が手に取るようにわかり、ためになります。
 このように、本書を読めば、現在のAI全般についてひと通り学ぶことができ、「AIをどう使いこなすか」が見えてくるはず。これからの社会を生きる文系の皆さんにとって必読の一冊といえるかもしれません。