神山健治監督が語ったSF的設定を等身大で表現する難しさ 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

神山健治監督が語ったSF的設定を等身大で表現する難しさ

このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOKSTAND

『攻殻機動隊SAC』『東のエデン』などで知られる神山健治監督の新作アニメ『もうひとつの未来を。』が昨年末、ネットで公開され話題になりました。



舞台は携帯キャリアのKDDIがウェブ上に開設した架空のオープンラボラトリー「au未来研究所」。神山監督のアニメは、同社が"未来とのコミュニケーション"ができるスマートフォンの研究を進めるうちに起こった事件の顛末を描いています。



モデルとなっているのは、実際に存在するKDDI研究所(埼玉県にあります)で、登場する人物にも実在の研究スタッフが参加。単なる広告プロモーションではなく、現実のKDDIとつながる世界観を提示することにより、このプロジェクトにかける「auの本気度」を表現しているそうです。



アニメファンにとって、「未来の携帯電話×神山監督」という組み合わせから連想されるのは、2011年の日本を舞台にした『東のエデン』でしょう。今回のプロモーションに起用されたことからもわかるように、SF的な想像力と、私たちが現実に暮らすこの世界を見事につなげる手腕はアニメ監督のなかでもピカイチです。



しかし、『東のエデン』や『もうひとつの未来を。』のように、現実との接点をきちんと感じさせながらも、SF的な設定をアニメとして自然に表現することは、観客が思うよりも難しいようです。



『東のエデン』のキャラクターデザインを手がけた漫画家・羽海野チカ氏(代表作に『ハチミツとクローバー』『3月のライオン』)との対談で、神山監督は次のように述懐しています。(小説『東のエデン 劇場版』に収録)



「これまでの僕の作品の主人公は突出した能力を持つキャラクターで、異世界を舞台にしたSFやファンタジーでした。『東のエデン』は架空の日本だけど、現実と重なっている。そのため、登場人物たちは等身大にならざるを得ないのだけれど、これがけっこう難しかったりする。アニメや映画を観る人たちは、自分とまったく違う、すごい人やとてつもない体験を求めているけれど、その一方で、どこかが『こいつはオレだ』と感じられないと面白いと思ってくれない」



その解決策として神山監督が『東のエデン』で行ったのが、羽海野チカ氏の起用だったとか。



「『ああ、あの小難しい、ハードでデジタルなSFのアニメをつくる人ね』というのが、僕のアニメや映画を観たことのない人のイメージだったと思うんです。でも、羽海野さんのキャラクターはとてもやわらかくて、オーガニック。入り口の見え方が変わったことで『だったら観てやろうか』という温かい目で迎えてもらえた」



SF的な"すごい世界観"を魅力的に作り上げつつも、表現においては視聴者との親近感を忘れない――。こうした考え方はテレビや劇場のアニメ作品だけでなく、もっとユーザーとの距離が近い広告コンテンツでは、より重要になるのは間違いありません。



【関連リンク】

au未来研究所

http://aufl.kddi.com/index.html


(記事提供:BOOK STAND)

トップにもどる BOOKSTAND 記事一覧

続きを読む


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい