有安杏果が撮る東京の文化財『世田谷観音』の魅力 「ライブ演奏時は音楽の神様に祈りたくなる」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

有安杏果が撮る東京の文化財『世田谷観音』の魅力 「ライブ演奏時は音楽の神様に祈りたくなる」

ももかアイズ

このエントリーをはてなブックマークに追加
写真・有安杏果、文・平野圭祐週刊朝日
 有安杏果さんと東京都内の神社仏閣を訪ねる企画「ももかアイズ」。今回は世田谷観音だ。東急田園都市線の三軒茶屋駅を降りると、ランドマークとなっている商業施設「キャロットタワー」がそびえ立っている。多くの人が行き交う大通りから住宅街を20分ほど歩くと、正式名称「世田谷山観音寺」に着く。世田谷観音の通称で、多くの人に親しまれている。

 今回の撮影は新型コロナウイルスの影響が拡大する前に、安全に配慮して行った。

 
境内を歩く有安杏果さん(アプリコット提供)

境内を歩く有安杏果さん(アプリコット提供)

 
 1951年に太田睦賢(おおたぼっけん)和尚が独力で建立した。20歳ごろに上京し、宣教師との出会いからキリスト教に帰依した。海外でキリスト教を学ぼうとしたが、家族から国内で得度することを勧められ、仏教徒の道を歩むことになった。生計は製菓・製パン業で立て、さらに神官の資格も取り、禰宜(ねぎ)として奉仕したこともあるという。己の懐が寒くては思うことを思った通りに実践できないという信念から、商売で経済的な基盤を固めてから寺院を立ち上げたのだろう。

 寺院で、昭和時代の創建となると新しいイメージが持たれるが、境内のお堂は、ほかの寺院などから移築されたものばかりで、古刹のような雰囲気がある。「江戸三十三観音」の第32番札所。緑に囲まれ、心が洗われる。

    
境内を撮影する有安杏果さん

境内を撮影する有安杏果さん

           

「世田谷にあるレコーディングスタジオも使うことが多いのですが、ここにお寺があるなんて知りませんでした。とても静かで心が休まりますね」

 境内に入った有安杏果さんが仁王門で足を止め、「鳴き龍」を見上げた。

 真下でパンと手をたたくと、不思議な音が響くことからそう呼ばれる。向かって右側は金剛力士像、左側は密迹力士(みつじゃくりきし)像。平安時代後期に造られた東京都内最古の仁王像との説明書きがある。

        
密迹力士像

密迹力士像

              

 仁王門をくぐり、参道を歩くと、正面に観音堂(本堂)が見えてくる。靴を脱いでお堂に上がり、ご本尊・聖観世音菩薩像に手を合わせる。

        
聖観世音菩薩像

聖観世音菩薩像

             

 その脇にまつられているのがマリア観音像。江戸幕府の厳しいキリスト教禁制を避け、「隠れキリシタン」が聖母マリアの化身として、ひそかに崇拝した観音像のことだ。幼児を抱くマリア観音の姿は、キリスト教と仏教が融合しているように映る。

             
観音堂

観音堂

               

「マリアさま?」有安さんが近づいて、のぞき込む。

 撮影の合間に、「有安さんはどんな時に祈りたくなりますか」と聞いてみた。

「そうですね……。ギター、ピアノ、サックス……ライブでいろいろな楽器をやりますが、新しい楽器にチャレンジしてライブで演奏する時は祈りたくなりますね。音楽の神様はいるんじゃないかと思います。でも、音楽の神様はきっと、そんなに優しくないと思う」
 有安さんはそうほほえんだ。そして、一拍置いて、「努力したうえでお祈りすることにしています」と自分に言い聞かせるように答えてくれた。

  
 マリア観音像

 マリア観音像

            

続きを読む


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい