参院選が公示された。21日の投開票に向け、候補者の演説にも熱が入る。本誌は公示前に、すべての参院議員に主な政策についてアンケートを実施した。年金関連や消費増税、女性・女系天皇など、主な論点についてどんなスタンスなのか紹介する。一票を託す参考にしていただきたい。

【投票前に要チェック!各アンケートの結果はこちら】

週刊朝日2019年7月19日号より
週刊朝日2019年7月19日号より

 アンケートの期間は6月12日から約3週間。項目は、年金・福祉関連、女性・女系天皇、高齢者の免許返納、消費増税、原発、移民、沖縄。選挙前の慌ただしいなかではあったが、全議員の約半数にあたる118人から回答を得た。

 公示前に10人以上の議員が所属していた政党の公示前の勢力の割合と比較すると、ほぼ5割を占める自民党(以下、自民)からの回答が一番多かったが、割合としては約4割と、やや低め。公明党(以下、公明)は公示前勢力と同じ11%、立憲民主党(以下、立憲)と国民民主党(以下、国民)は、いずれもわずかに多い13%。日本共産党(以下、共産)と日本維新の会(以下、維新)も、いずれもやや多い9%と、自民以外は公示前勢力とそれほど大きな違いはなかった。

 では、具体的な回答に移ろう。まずは社会保障関係から。

「老後2千万円不足問題」で国民的な議論となった年金問題。受給開始年齢については、「原則68歳」「原則70歳」「原則75歳」「その他(記述回答)」の選択肢があり、91%(10人)が「原則75歳」を選んだ維新を除いては無所属を含め、すべての党で「その他」を選んだ割合が大きかった。

週刊朝日2019年7月19日号より
週刊朝日2019年7月19日号より

 自民の記述回答で最も多かったのは、個々人の状況に合わせて受給開始年齢を選べる「選択制」で57%。党では受給開始年齢を60~70歳超に広げる提言をまとめている。政府は来年にも法案を提出する方針だ。

 ただ、24%は「原則68歳」「原則70歳」「原則75歳」のいずれかを選んでおり、この先、一律に受給開始年齢を上げることも視野に入れているようだ。ある自民議員の秘書はこう説明する。

「年金財政の持続性を考えれば、引き上げざるを得ない。まだ具体的に議論が進んでいるわけではないが、選挙後、党内で議論になると思う」

 高齢者をより長く年金の支え手にする姿勢を鮮明に出しているのは維新だ。マニフェストにも「高齢者の雇用創出、年金支給年齢の段階的な引き上げ」と記載している。

 対照的なのは共産。「原則65歳維持、引き上げ反対」が100%だった。公明は「その他」の回答で「検討・議論が必要」が38%、立憲は「制度の抜本的な見直しが必要」が33%で、多数を占めた。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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