東大病院
東大病院

 このところ受験生の間で医学部の人気が盛り返している。その背景には、医学部志望の女子の増加と、コロナ禍が生み出した将来への不安があるという。大学合格者高校ランキングの第11弾は、国公私立全82医学部のランキングを、入試の最新動向とともにお届けする。

【図表】ひと目でわかる!「国公立大医学部現役合格者数ランキング」はこちら(3枚)

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 国公立大医学部の人気が続いている。主な要因は、景気の悪化や社会の学歴観の変化により、東大や京大に進学しても、必ずしも一流企業に就職できるとは限らなくなってきたからだ。特に景況の悪化は受験生の地元志向アップにもつながり、地方でも安定して高い収入が得られる医師の人気が高まっている。

 08年度からは地域枠などが創設され、医学部の「臨時定員増」が認められるようになった。さらに同年秋のリーマン・ショックによる景気の悪化が、国公立大医学部人気に拍車をかけた。

 河合塾のデータをもとに作った国公立大医学部医学科(前期日程)の志願者数の推移について、河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフがこう解説する。

週刊朝日 2023年6月2日号より
週刊朝日 2023年6月2日号より

「ここ10年の国公立大医学部入試では、14年が一番厳しかったと思います。志願者も多く、倍率も一番高かった。志願者数はこの年の1万9919人がピークで、21年には1万4773人まで下がってきています」

 だが今年はちょっとした“異変”がみられたという。岩瀬氏が続ける。

「22年には志願者が1万5千人を回復し、23年は1万5960人と1千人弱増えました。特に女子が増えている傾向にあり、昨夏の模試でも国公立大医学部を目指す女子の志望者が前年から2割近く増加していました」

 私立大医学部はどうか。14年から10万人台で推移していたが、18年の10万9171人をピークに減少に転じ、21年は10万人を割った。岩瀬氏が理由を説明する。

「私立大医学部の場合、一人の受験生が全国を飛び回り何校も受験するケースが珍しくありません。ところがコロナ禍の影響で移動に制約があり、大幅な志願者減につながったと考えられます」

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