※写真はイメージです (GettyImages)
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「濃厚ダシ」「あふれるチーズ」「バターたっぷり」……最近、“濃い味”をうたった食べ物、多くない? 実際に街に出て調べてみると、巷には“濃厚メニュー”があふれていた。いったいなぜか。専門家が教えてくれた意外な理由とは?

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 ある高齢者の集まりを取材していたときのことだ。昼食をデリバリーしようということになり、その場が紛糾した。ファストフードのデリバリーを提案した主催者側に、集まった高齢者の多数が猛反対したのだ。理由は共通していた。「味が濃すぎる。食事制限もあるので食べられない」というのだ。話し合いの結果、昼食タイムは自由時間となり、食事が必要な人は各自コンビニで調達ということになった。

 コンビニでざるそばを買ってきた70代男性は、「孫が遊びに来て一番困るのが食事でね。“ピザ食べたい”って言うから頼むんだけど、オレは食べられない。ちょっとコッテリすぎる」と言いながら、「コンビニの弁当もほとんどが濃い味だろ。食べてよさそうなのは、おにぎりかそばくらい」と苦笑い。

 メロンパンとお茶を買ってきた70代女性は、「ウチもそう。娘夫婦が来ると、娘が“おいしいから食べて”って出来合いのおかずを買ってきてくれるのよ。でもそれがね、味が濃くて困っちゃう」と笑い、「結局、好みの味を食べたければ、面倒でも自分で作って食べるしかないのよね」と不満げに話した。

 取材でこの場に同席していた記者の私も、実は医者から減塩を固く命じられている立場。“反・濃い味派”の高齢者たち同様、日頃から外食時にはメニュー選びが悩みのタネになる。

 テレビの情報番組で紹介される人気店のメニューを見ても「濃厚チーズたっぷりのハンバーグ」とか「濃厚デミソースでいただくビーフシチュー」「クリーミー濃厚白湯らーめん」「濃厚担々麺」等々、味の濃さが自慢のメニューばかり。

 ランチ激戦区の東京・新宿西口を歩いてみたら、「当店の一番人気・濃厚醤油らぅ麺」「濃厚チーズがとろ~り・クラシックバーガー」「濃厚かにみそラーメン」などの立て看板が並んでいる。

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