東尾修
東尾修

 プロ野球各球団のキャンプが始まった。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、日本ハムに注目する。

【写真】宮崎合宿に合流予定のダルビッシュ有

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 プロ野球が2月1日にキャンプインした。かつては1月31日にチームでそろって移動し、2月1日にユニホームを着た時に初めて「新しいシーズンのスタートだ」と思ったものだが、今の選手はどうだろう。自主トレからしっかり体を作り上げ、キャンプ地にも先乗りして自主トレをしているから、「2月1日」を特別なこととは思っていないかもしれない。

 日本ハムが2月1日に紅白戦を行った。主力の近藤健介がソフトバンクに移籍し、本当のレギュラーと言える選手はわずか。昨年1年間、多くの選手を使い、「育成」に近い形をとった新庄剛志監督。「今年は勝負」と昨年からオフの間、途切れさせることなく選手に伝えてきた。選手もキャンプ初日から「競争」という状態で入ったはずだ。

 だからこその紅白戦。ただ、気を付けなければいけないのは故障だ。結果を出そうと無理をすると必ず反動が出る。選手も自分の状態を把握し、その日にできるベストを出すことを意識しないと、コンディション以上の動きが生まれ、故障のリスクは高まる。そのあたりは新庄監督も計算に入れているはずである。

 新庄監督はキャンプ前に「今年のペナントレースは俺の頭の中では50試合しかない。スタートダッシュ。その最初の50はもう死ぬ気で」という発言をした。実績のない若いチームを作り上げる時、とにかく勢いが一番大切である。開幕から投打の歯車をしっかり稼働させ、勝利を積み重ねる中で自信を植え付けさせる。新庄監督の本気度が伝わる。今年はWBCに出場する主力選手も、相当早い仕上げになる。それに引っ張られる形でチームとしての仕上がりも早くなるだろう。

 WBC日本代表の合宿は2月17日から始まる。ダルビッシュ有がその宮崎合宿から合流できることは朗報である。ロージンバッグの扱い、変化球の曲がりが悪い時の対処の仕方や代用となる球種もそう。何よりダルビッシュという選手へのあこがれの思いが強い国内組の若手にとって、遠慮なくコミュニケーションをとれる時間を長く作れることが大きい。

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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