「ミカ・バンドの頃、新しい幸宏のドラムスタイルには賛否両方がありました。そんなときにクリスが手数の少ない洗練されたスタイルを高く評価してくれた。あれで幸宏は自信を持ち、演奏が磨かれたと僕は思っています」
キャリアを重ねてからの幸宏さんは、原田知世や高野寛らとのpupaや小山田圭吾らとのMETAFIVEなど年下世代のアーティストと組む機会が増えた。バンドの年長者であってもメンバーのサポートに徹した。
「幸宏の美学だと思います。ビートルズでは、レノン&マッカートニーよりもジョージ・ハリスンが好きでした。プロコル・ハルムでも、中心人物のゲイリー・ブルッカーよりマシュー・フィッシャーがお気に入り。目立つポジションに自分を置かずにチームや音を支えることに居心地のよさを感じていたのでしょう」
暖かい季節に向けて、幸宏さんとみなさんとのお別れ会の準備が始まっているという。(神舘和典)
※週刊朝日 2023年2月3日号
神舘和典
1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。
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