室井佑月
室井佑月

 作家・室井佑月さんは、少子化の危機感を訴える。

【この記事の画像の続きはこちら】

*  *  *

 あけましておめでとうございます。このコラムを書いているのは、2022年のクリスマス。年の瀬の最後に書く話題、みなさんに新年に読んでもらいたい話は、これしかないと思いました。

「今年1~10月に生まれた赤ちゃんの数が速報値で前年同期比4.8%減となり、年間出生数の概数が初めて80万人を割り込む見通しであることが20日、厚生労働省の人口動態統計で分かった。12月まで傾向が変わらなければ77万人台の可能性があり、統計開始以来最少となる。国の推計は80万人割れを2030年としていたが、想定を超えるペースで少子化が進んでいる」(2022年12月21日付新潟日報「出生数初の80万人割れ」という記事より)

「日本の将来推計人口」(2015年推計)によると、2115年の総人口は5055万5千人。いいや、少子化は加速し進んでいるから、その時にはもっと人口は減ってしまうだろう。

 今、政府はGDP比1%の防衛費5.5兆円を、2%の11兆円に拡大することに躍起になっている。

 しかし、このままでいけば100年後にはGDP比2%にしたところで、防衛費は落ちる。

 どう考えても、防衛費拡大より、超少子高齢化対策に気前よく税金を投入すべきじゃないか?

 世の中には、子を作る人と作らない人がいる。欲しいけどできない人も、はじめから望んでない人もいる。さらにいえば、パートナーを持つ人も持たない人もいる。

 寛容な世の中を望むなら、どの意見も認められねばならないし、どの意見も批判などされてはならない。どれが正解かはない。どれもその人にとっての正解だ。

 批判される覚悟でいうが、あたしは子を産んで良かった。あたしという個人の人生の中で、いちばん良かった出来事かもしれない。

 生きていれば、様々なトラブルに見舞われる。そんな中、いっそ死んでしまいたいと思ったことも、嫌がらせに対してこちらも鬼となり反撃したいと思ったこともある。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ