電通がマーケティング専任代理店に決まった2カ月後の同6月、規定路線通り、高橋氏は評議員会で理事に選任された。

 評議員会議長は森氏の盟友、川淵三郎元サッカー協会会長だ。同議事録には「全員異議なく承認可決された」と素っ気なく記されていた。

 竹田氏、森氏に取材を申し込むと代理人を通じ、「捜査中なので回答を控えさせていただく」と回答した。事務総長だった武藤氏は「理事の選任について議論した記憶はある」としたが、8年前のことなので記憶が定かではないと答えた。

 仏当局の捜査から始まった一連の五輪汚職。 舞台は法廷へと移るが、高橋氏の口から真相を語ってもらいたいものだ。

(朝日新聞記者・森下香枝)

週刊朝日  2022年11月25日号に加筆