みつはしちかこさん(右)と林真理子さん(左)(撮影/写真映像部・高野楓菜)
みつはしちかこさん(右)と林真理子さん(左)(撮影/写真映像部・高野楓菜)

林 「ドジな君が可愛い」と言ってくれる背の高いハンサムな彼氏がきっとあらわれるだろうって、全国の女の子がみんな思って、それが後の、女の子の心を打ついろんな漫画とかドラマの原型になっていったと私は思ってるんです。「スチュワーデス物語」とか。ドジで美人でもないし才覚もない女の子だけど、ピュアな愛らしさでみんなの憧れの彼を射止めるという。

みつはし ああ、そうですかね。

林 チッチって勉強がダメで、サリーが勉強を教えてあげてると、だんだんチッチの顔が険しくなって、髪の毛をかきむしっちゃって、サリーが「僕、どうしてこんなに頭の悪い子を好きになっちゃったんだろう」って言うじゃないですか。あのシーン、みんな胸がキュンとしたんじゃないですか。私も大好きでした。

みつはし 私は高校のとき放送劇部に入ってたんですけど、卒業したら終わっちゃうから、何か記念に残しておこうと思って、放送劇部の漫画日記みたいなのを描いてたんです。そしたらだんだん登場回数が多くなっていく同級生がいて、その人が後の「サリー」になったんです。初めてデートにこぎつけたときは、私、ドジばかりやってしまって。後で思い出すとそれがおもしろくて、これは漫画になるぞって。体験した私にしか描けない漫画「小さな恋のものがたり」のもとですね。

(構成/本誌・唐澤俊介 編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2022年10月14-21日合併号より抜粋