もしストーカーの被害に遭ったら...(gettyimages)
もしストーカーの被害に遭ったら...(gettyimages)

 手頃な値段で必要な期間だけ入れるミニ保険(少額短期保険)が人気を集めている。新型コロナウイルスに感染したときに保険金が出る「コロナ保険」は加入が殺到し、日本中が猛暑にあえいだ今夏は「熱中症保険」が話題を呼んだ。なかには「ストーカー保険」や「お天気保険」なるものも。斬新な商品が次々現れる、ミニ保険の世界に迫る!

 日々の平穏を脅かすトラブルは、突然やってくる。まずは二つのケースを見てみよう。

【ケース(1)】5年ほど付き合っている彼氏から何度も結婚の話をされ、私もその気でいた。ところが彼には妻と子どもがいることが発覚。既に別れたが、慰謝料などを請求したい。

【ケース(2)】上司から「こんな仕事もできないなら辞めろ」と他の社員の前で言われ、突き飛ばされた。以来、同僚からも冷たい態度をとられ、会社に行きたくなくなった。とても悔しいので会社を訴えたい。

 これらは、トラブルの際にかかった弁護士費用を補償するミニ保険「弁護士のミカタ」で、実際に保険料が支払われた事例だ。どちらも弁護士費用の約9割がまかなわれた。

 この保険を生み出した「ミカタ少額短期保険」によると、個人向けの保険料は月2980円から。ケース(1)の場合、弁護士費用の自己負担分は3万5200円で、損害賠償金100万円を、ケース(2)の場合は自己負担分1万6280円で、損害賠償金30万円を勝ち取ることができたという。

 同社によると、トラブル件数のツートップは労働問題と交通事故。次が男女や親族間の問題だ。最近はネット通販やSNSでの誹謗中傷などの被害も増えているという。ただし、保険に入る前に、トラブルやその原因が発生していた場合は補償されないので、注意が必要だ。

 保険ができた背景には、10万円以下の損害や精神的なダメージを受けても、費用がネックとなり弁護士に頼めず、泣き寝入りする人が多い実態がある。執行役員の香月裕也さんが言う。

「あおり運転や痴漢の冤罪、雇い止めなどの様々な社会問題を受けて、『自分の身は自分で守らなきゃ』という意識が広がっているのでしょう。具合が悪ければ医療保険を使って病院に行くように、日常生活でトラブルに遭ったら保険の力を借りて、気軽に弁護士に相談できるようになればいいなと思います」

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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