「自分なんてまだまだ」という謙虚さ。「求められることすべてに応えていきたい」という貪欲さ。その両方がバランスよく共存しているところも、異国の地で自分の表現を模索し続けた彼らしいスタンスだ。
「何かを極めるためには、表現を一つに絞ったほうがいいのかなと、すごく悩んだ時期もあります。でも、求められることをやったことによって、それが自分の武器になって返ってくることも多かった。それに、新しい場所に出ていけば、新しい出会いもあって、それがまた次につながることもある。自分がこの先どうしていきたいかという気持ちをちゃんと話せるようになったのも、経験があってこそですし。失敗したことも、悩んだことも含めて、これまでに無駄な経験は一つもなかったなと思います」
とはいえ、売れっ子になった今は、オファーが重なって、「これはやる」「これはやらない」と判断することもあるのではないか。オファーが重なったときの優先順位を聞くと、「オファーをいただけるようになったのは、ここ2~3年の話なので」と前置きしながら、「できれば全部やりたいんです」と続けた。
「ただ、芝居や歌と比べたら、バラエティーや情報番組の優先順位は低くなるかもしれません。作品に足を運んでもらうための宣伝活動は積極的にやりますけど、森崎ウィンのキャラクターをもっと世間に広めたいとはあんまり思わない。フリートークって難しいですよね。最初の頃とか、何でもしゃべっちゃって、事務所の人に叱られたこともありましたし(笑)。これをしゃべったことによって誰かが傷つくかもしれないとか、昔は全然わからなかった。でも、トークに関して、僕をすごく成長させてくれたのは、ラジオだと思います。7年前から、ラジオのレギュラー番組を持たせてもらって、そこでいろいろ学んでいます」
1か100かの人間だという。やらないと決めたことは一切やらないし、やると決めたらとことんやらないと気が済まない。