ロックダウンされた街を消毒する作業員(Getty Images)
ロックダウンされた街を消毒する作業員(Getty Images)

「ゼロコロナ政策」を掲げる中国の都市封鎖(ロックダウン)の期間中は生産や物流活動が止まった。日本にも影響が及んでおり、家電や家具などが入手しにくくなっているという。この状況はいつまで続くのか。

【写真】都市封鎖(ロックダウン)により車がほとんど通らない

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 中国は4月から上海全市を封鎖管理下に置き、新型コロナウイルス感染の抑え込みを進めた。「世界の工場」とされる中国でのロックダウンでは、人の外出が厳しく規制され、工場での部品や製品の生産、物流が滞った。多くの日本企業が進出する上海市は6月からロックダウンが解除されたが、影響はしばらく残るとみられる。

 5月下旬までの現地の状況を日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所の船橋憲副所長はこう説明する。

「4月1日のロックダウン以降、マンションの敷地から出られない住民が半数ほど、残り半数は(許可を得て)敷地から出られても近所を短時間散歩するのみ。店舗もほとんど閉まったまま。大半の市民はオフィスや工場に出勤できず、工場の稼働率が上がるはずもありません」

 日本では家電などのさまざまな商品の供給に影響が出ている。大手家電量販店のビックカメラの通販サイトで、たとえば冷蔵庫を見ると「在庫あり」もあるが、「入荷次第出荷」という商品も目立つ。出荷までに2、3週間や、1、2カ月以上を要するものもある。

 大手家電メーカーでは新規受注を停止する商品も出ている。三菱電機は5月半ば、新型ジャー炊飯器の同月21日の発売を延期すると発表。部品調達に遅れが出ているためという。

 パナソニックは5月12日、一部の炊飯器の新規受注を停止すると発表した。部品メーカーの操業停止や物流の制限が理由という。このほか、4月14日に電子レンジの6機種、4月21日にドラム式洗濯乾燥機の8機種、5月12日にはマッサージチェアの5機種で、いずれも新規受注を停止すると発表している。

 日立も4月28日に全自動洗濯機で13機種の新規受注を停止すると発表。日立グローバルライフソリューションズの広報担当者は、「中国で部品と一部の機器もつくっている」と説明し、ロックダウンの影響が両方で出ているほか、「輸送もストップしている」と話す。ただ、該当する13機種以外は新規受注を停止していないともいう。

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