沖縄本土復帰50年「日本は帰るべき“祖国”だったのか」

沖縄問題

2022/05/15 07:00

オスプレイが駐機する米軍普天間基地
オスプレイが駐機する米軍普天間基地

 沖縄が日本に復帰して、5月15日で50年。だが、当地の人々からは、祝賀ムードとは程遠い複雑な思いが聞こえてくる。私たちは、沖縄の「怒り」ときちんと向き合ってきたのか。現地取材の結果を、上下2回にわたりリポートする。

【写真】普天間飛行場近くの保育園に落下した米軍機の部品がこちら

*  *  *

 沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場に飛来する軍用機の数が増え続けている。防衛省沖縄防衛局の目視調査によると、2021年に航空機が離着陸(タッチアンドゴー、通過、旋回を含む)した回数は1万8017回で、調査を開始した17年以降、最多となった。

 主な要因は、ステルス戦闘機F35、戦闘攻撃機FA18など外来機が急増したことで、山口県の岩国基地に移転したはずのKC130空中給油機も訓練のため頻繁に飛来している。背景には、軍事力を急速に増強させている中国をにらみ、米軍が飛行訓練を常態化していることが挙げられる。

 5月15日、沖縄は「本土復帰50年」を迎えるが、県民が願う負担軽減とは逆行する形で、普天間では軍用機の離着陸が増えているのが実情だ。このため、騒音被害が増加し、部品落下などの事故も相次いでいる。

 昨年11月には、輸送機MV22オスプレイから金属製の水筒が住宅地に落下したばかり。17年12月7日には、普天間飛行場近くの普天間バプテスト教会付属緑ケ丘保育園の屋根に大型輸送ヘリCH53Eの部品が落下、同13日には普天間第二小学校の運動場に同機種ヘリの窓が落ちる事故が相次いで発生した。緑ケ丘保育園の神谷武宏園長(牧師)は、園舎の2階にある礼拝堂で怒りを滲ませながらこう語る。

「直接被害を受けたのは、1964年の開園以来初めてです。騒音は昔からですが、特に激しくなったのはこの4、5年のこと。F35などの爆音は、園舎にいる子どもたちが泣きだすほどです。大型固定翼機などがタッチアンドゴーを始めると、5分おきに上空を飛んできて1時間くらい続けることもあり、恐ろしくなる。ヘリや戦闘機は操縦士の顔が見えるほど低空飛行するし、私たちは人間扱いされていないんです。政府に対して要請活動をしても、何の解決策も示してくれない。『復帰』から50年も経つのに、米軍基地を押し付けたまま。これが沖縄に対する日本からの回答なんですか」

 部品の落下事故が起きたのは午前10時過ぎだった。CH53Eが上空を通過すると、何かがドンと大きな音を立てて園舎を直撃、トタン屋根をへこませた。当時、園庭で2、3歳児約30人が先生と遊んでおり、「わっ」と声を上げて首をすくめた。屋根の下は1歳児のクラスだった。

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「ヘリから何かが落ちてきました!」

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