まもなく創刊100周年を迎える週刊朝日。中でも、25年以上の歴史を持つ作家・林真理子さんの「マリコのゲストコレクション」は、スタート以来、数々のゲストにご登場いただいてきました。

 昨年11月、99年の生涯を閉じた瀬戸内寂聴さん。女性の新しい生き方を描いた数々の小説や『源氏物語』の現代語訳など、多くの功績を残し、世に与えた影響は計り知れません。週刊朝日と同じ1922年生まれで、創刊95周年、99周年のときは、表紙を飾ってくださったことも。マリコさんとは、公私ともにつきあいがあり、深い絆で結ばれていました。5年前の対談では、京都の寂庵で、その人生を振り返って──。2017年3月3日号掲載

「老親友のナイショ文」(2019年8月~21年12月)など

*  *  *

林:先生、お元気そうで何よりです。週刊朝日95周年号の表紙を飾られるんですよね。最高齢のカバーガール(笑)。

瀬戸内:よく写るよう、まなほ(寂聴さんの秘書)が朝から一生懸命お化粧してくれたの。キレイでしょ。

林:お肌ツヤツヤですよ。先生と週刊朝日は、ほぼ年代を共にしているわけですよね。

瀬戸内:同じ1922年生まれですからね。日本共産党とも同い年。

*中略*(以下、*)

林:そしてご主人とお嬢さんと3人で故郷の徳島に戻られて、そこで年下の男性を好きになって出奔したことで、先生の作家人生が始まるわけですよね。当時のことを描いた私小説『夏の終り』が映画化されましたが(2013年公開)、いまの若い人たちも先生の行動にはびっくりなんじゃないですか。

瀬戸内 まさか! でも当時はそんなこと案外あったのよ、「あそこの奥さん、出ていったよ」というのが。「女は夫に仕えるもの」と教育されてきた女性たちが、戦争が終わって「なんで辛抱してたんだろう」と思った。日ごろおとなしい人がどんどん家を出ていったの。

林:そうなんですか。先生、映画はいかがでしたか? 満島ひかりさんが先生の役でしたが。

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