音楽評論家の宗像明将さんも、女優・西野七瀬の魅力を、「振り幅の広さにあると思います」と位置付ける。

「『劇団☆新感線』の舞台でコメディ路線をみせたかと思えば、Amazon Primeの配信ドラマ『ホットママ』では育児に奮闘するママを演じ、今度の『孤狼の血 LEVEL2』ではヤクザの世界に近いところでの存在感をみせる。『環境が人を育てる』と言うこともありますが、乃木坂46を卒業されてから、さらに一皮むけた印象があります。近い時期にこれらの違った表情を、しかもどれもストレートに振り切った演技で次々に見せてくれることに驚きます」

 宗像さんは、西野七瀬にインタビューを行った際に受けた印象を、こう語る。

「決してリアクションが大きい方ではなく、インタビュー中も常に落ち着いていた印象があります。乃木坂時代から、それはあり、結成当初も決して目立つ存在ではありませんでしたし、最初は前列のメンバーでもありませんでした。いっぽうで、内に秘めたひたむきな感情を隠しているというか、大変なことを涼しい顔で淡々とこなしていく。目立つことなく気付けば力を発揮しているような方ですね」

 グループ卒業後、現時点では歌やダンスなどでの新たな挑戦は行っていない西野だが、そこもまた強みのひとつではないかと宗像さんはみる。

「女優と歌手、女優とタレントなど、器用にどれもこなせる方ももちろんいらっしゃいますが、西野さんの場合は、番組のMCを行ったりCMに出演したりはしていますが、少なくとも歌やダンスはお休みしている状況で、これだけオファーもあり、卒業生の中でもトップクラスの活躍もしています。今後、西野さんの活動のスタイルが、これからの乃木坂卒業生にとってのひとつのロールモデル、憧れになっていく気がします」

 ますます女優・西野七瀬の“振り幅”は、大きく拡大しそうだ。

(本誌・太田サトル)

*週刊朝日オンライン限定記事