五輪取材の拠点となるメインプレスセンター(MPC) (撮影/西岡千史)
五輪取材の拠点となるメインプレスセンター(MPC) (撮影/西岡千史)
MPC内のフードコートで出しているハンバーガー(1600円) (撮影/西岡千史)
MPC内のフードコートで出しているハンバーガー(1600円) (撮影/西岡千史)

 東京五輪で来日した海外関係者がルールを無視し、指定場所以外で飲食しているという情報が、ネットなどに出ている。たしかに、そうした外国人もいるようだが、街に出て見かけた彼・彼女らに話を聞くと、多くはルールを守り、なんともわびしい食生活を送っているようだ。

【写真】ツイッターに「ゴム肉」と投稿された1600円のハンバーガー

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 開幕を数日後に控えた平日のランチタイム。銀座にもほど近い、地下鉄日比谷線の築地駅近くのホテル前に、「イギリスオリンピック委員会御一行様」の表示がある大型バスを見つけた。

 周辺を歩くとすぐに別の大型バスを発見。「Kホテル⇔オリンピックセンター」の表示がある。Kホテル前で出待ちしていると、そのバスが玄関前に横付けされ、ホテルから出てきた関係者が次々とバスに乗り込んでいく。そのうちの一人がホテル脇で一服し始めた。

「アメリカのプレスだよ。日本に来て1週間になるけど、ここ(ホテル)とメインプレスセンター(MPC)しか行ってない。食事? デリバリーやランチボックスばかりだね。ホテルの部屋が禁煙なのが一番つらい(笑)」

 ほかにもコンビニから戻り、ホテルに入っていく外国人の姿など、この周辺のホテルに、関係者の多くが泊まっていることが確認できた。

 報道では、MPCがある東京ビッグサイト(東京都江東区)周辺のハンバーガー店やコンビニでも多数の関係者が目撃されているほか、ビッグサイト周辺で外飲みしていたという。「選手村近くで花火をしていた」「豊洲やお台場は外国人がウロウロしてる」などというSNSの投稿もあった。どれも行動ルール(プレーブック)では禁じられている行為だ。

 さっそくMPCに向かうと、手作りの聖火トーチを持った香港メディアがいた。聞くと、この日初めて入ったという。

「日本に来て4日目。それまではホテルから出られなかったからね。この周辺ならいいというので記念写真を撮りに出てきただけだよ」

 ビッグサイト付近のハンバーガーショップは日本人ばかり。ネットでは外国人だらけと書かれていた豊洲周辺でも、たまに見かける外国人は、周辺の会社に勤務する人ばかり。ネットの情報どおりでもない。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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