津軽弁の美しきリエゾン 東京出身者も青森に「帰りたくなる」? (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津軽弁の美しきリエゾン 東京出身者も青森に「帰りたくなる」?

連載「RADIO PA PA」

延江浩週刊朝日#延江浩
延江浩(のぶえ・ひろし)/TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー (photo by K.KURIGAMI)

延江浩(のぶえ・ひろし)/TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー (photo by K.KURIGAMI)

「いとみち」(公開中)のワンシーン (c)2021「いとみち」製作委員会

「いとみち」(公開中)のワンシーン (c)2021「いとみち」製作委員会

 TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、本誌連載「RADIO PA PA」。映画「いとみち」について。

【「いとみち」のワンシーンはこちら】

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 東京生まれの僕なのに、映画『いとみち』を観て青森・津軽へ「帰り」たくなった。

 新星・駒井蓮演じる主人公、いとの清廉な仕草と津軽弁と彼女の弾く三味線。方言と音楽の響きが心地よく、誰もが故郷を想う夏にうってつけの作品だった。

 前回、桜桃忌で三鷹の禅林寺に行った際に携えていった太宰治の第一創作集『晩年』に短編「雀こ」がある。全編津軽弁で書かれた小説に対し、文芸評論家、奥野健男はこう言った(新潮文庫)。「津軽弁で音読されるとリエゾンが美しく、エキゾチックな不思議な音楽的効果をあらわす」

 リエゾンとはフランス語で「橋渡し」。単独では発音されない子音が、直後に母音があると音を発することを言うが、「橋渡し」とはいい言葉だ。

 いとは津軽の田舎に住む16歳の高校生。授業で教科書を読むと教師にクラシック聴いているみたいだと指摘され、クラスメートから笑われてしまう。訛りが強くて小声になり、津軽三味線の名手である祖母をみて始めた三味線はコンクール入賞の腕前だが、股を開いて演奏するのが嫌で、入賞を報じる新聞記事も隠してしまう。図書館でうたた寝していると太宰の「雀こ」を歌う子どもたちが現れ、その先の縁側で亡き母が三味線を弾く夢を見る。

 バイト代に惹かれ、放課後は大都会、青森市内のメイドカフェで働くことに。だが、メイド服を着ての第一声が「お、お、おおんがえりなさいませ、ご、ごすずんさま!」。「……わい、まいねじゃ(だめだこりゃ)」と落ち込んだり。

 脚本を書き、監督をした横浜聡子に会った。彼女も青森出身。少女のような佇まいが主人公いとに重なった。そして目的に向かってまっしぐらに進む「じょっぱり(頑固)」も。「東京に憧れて、ラジオでも東京的な雰囲気を探して聴いていました。ザーザーッていう雑音の中に東京を感じながら」。しかし上京して故郷の良さを知る。


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