感染対策の遅れは「『見立て』の習性」 日本人の欠点を歴史学者らが指摘 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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感染対策の遅れは「『見立て』の習性」 日本人の欠点を歴史学者らが指摘

左から、水野和夫さん、古川元久さん、磯田道史さん (c)朝日新聞社

左から、水野和夫さん、古川元久さん、磯田道史さん (c)朝日新聞社

「人類の敵はもはや人類ではない、ウイルスだ」。歴史学者の磯田道史さんが、『感染症の日本史』(文春新書)で指摘してから既に8カ月。コロナ禍の課題は何か。3度目の緊急事態宣言下の4月下旬、経済学者の水野和夫さん、衆議院議員の古川元久さんと語り合った。

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磯田:コロナ対策の遅れに危機感を抱きます。変異株まん延のなか、日本はワクチン接種率が4割7割と進むまで相当時間がかかる。自粛や制限が長引き、経済回復が遅れ、1、2年先にも影響してしまうかもしれない。ワクチンを素早く打って経済を動かした「ワクチン先進国」との落差をみて、国内に政治や科学への落胆と不信が生じるかもしれません。

水野:コロナは文字通り「国民国家の危機」です。17世紀のイギリス市民革命以来、400年続いている国民国家が対応できていないのですから。言い換えれば、国民国家が「資本を蒐(あつ)める側」に付いてしまったという矛盾を、コロナ禍が可視化させ、さらに拡大しているとも言えますね。

 資本の本質は、流動性です。常に動きがなければいけない。ところがゼロ金利社会になった今の日本では、労働者の賃金に不当に手をつけることで資本を蒐集(しゅうしゅう)している。非正規雇用という隠された賃金搾取が、市民中間層の破壊を招いているのです。コロナ禍による失業や倒産でそれがあらわになりました。一方で、日本の富裕層上位50人の総資産額は、昨年より48%も増えています。こうした格差拡大は、資本主義の暴走の結果です。

磯田:そんな日本も行政と経済では、この150年で成功したはずでした。イギリスもそのはずでした。ところが今回のコロナ禍では、イギリスは感染まん延を抑え込めたニュージーランドをうらやましがっています。日本は台湾がうらやましい。1人当たりのGDPが購買力平価で台湾に追い抜かれ、コロナ後には韓国にも?という状況です。自信を失い、人心がすさむと、ヘイトのようなゆがんだ差別や排外主義が生じやすい。今はパンデミックでむしろ世界協調、国際貢献が必須の時代。理性的に日本の国力維持を考える必要があります。第1次世界大戦後のヒトラーのドイツみたいにならぬよう。


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