室井佑月・作家
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イラスト/小田原ドラゴン
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 作家・室井佑月氏は、再起動を目指す柏崎刈羽原発のズサンな運営にあきれる。

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 3月16日付のNHK NEWS WEB「柏崎刈羽原発 長期間テロ対策に不備 『最も深刻レベル』規制委」という記事によれば、「新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策などとして不正侵入を防止する検知設備が去年3月以降、複数壊れていた可能性があることが原子力規制委員会の調べでわかりました」だって。複数の検知設備が去年3月以降壊れてて、不正な侵入も可能な状態になっていた。核物質防護に関わる4段階の評価のうち最も深刻なレベルだと。

 そういえば、去年の9月、社員が他の社員のIDカードを使って中央制御室に入室したって問題があった。

 東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働を目指しているが、こんなズサンな運営を知ると、危険な原発をほんとうにこの人らに任せていていいんだろうか、そもそも原発という危険なものを絶対安全に扱えることなどないんじゃないか、とそう思う。

 それにしても、このニュースに関し、普段「このままじゃ中国に沖縄を乗っ取られる」とか「北朝鮮がミサイルを放つ」とかいっている人たちが黙(だんま)りなのはなぜなのだ? 中国が日本にいきなり侵略するよりも、北朝鮮が日本にいきなりミサイルをぶっ放すよりも、テロリストを送りこむことのほうが簡単に思えるけどな。

 てか、日本と隣国の話は、国の指導者が隣国憎しの感情を煽(あお)り、それを国内感情の引き締めに使ったりしてるだけ。よその国もやっていることだ。

 ちょっと前に安倍前首相が、「国難突破解散」というのをしたけど、あれから日本と隣国の状況が変わったなどという話などない。

 そして、隣国たたきや安倍前首相に熱狂した人たちの多くは、新型コロナウイルスに関しても、「ただの風邪」とか「PCR検査拡大は医療崩壊につながる」といっていた。

 そうそう、コロナ禍の中で東京五輪開催は不安だというと、「次の冬季五輪、北京においしいところを全部持っていかれて平気なのか」といわれたこともあったっけ。

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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