「sundy zoo」の奥野喜治さん(撮影 大崎百紀)
「sundy zoo」の奥野喜治さん(撮影 大崎百紀)
(週刊朝日2021年3月12日号より)
(週刊朝日2021年3月12日号より)

 緊急事態宣言に在宅ワーク……おこもりを余儀なくされる日々、おうち時間を楽しく過ごすことは心身の健康のために大切ですね。気軽に始められるのが本格コーヒー。コーヒーの街として人気急上昇の東京・清澄白河の人気店で、おいしくいれるこつを聞きました。

【図解】ブルーボトルコーヒー流 おいしいコーヒーの入れ方はこちら

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 挽きたてのコーヒー豆の香り。ぽとり、ぽとりとサーバーに落ちていく音。口に広がるおいしさ。コーヒーは五感を豊かにしてくれる。

 在宅時間でもおいしいコーヒーを楽しみたい。ここ数年でコーヒーの街となった清澄白河は東京の下町。『喫茶人かく語りき 言葉で旅する喫茶店』(4月刊、実業之日本社)などの著書を持つカフェライターの川口葉子さんは、コーヒー好きを引きつける背景をこう語る。

「ところどころに残る下町情緒と、空の広さ、抜け感は清澄白河ならでは。古くから倉庫街でしたが、高い天井が必要なコーヒーロースターにとっては最適な環境。倉庫を改装して中小のロースターがオープンし、情報感度の高いコーヒー好きの人々が注目していたところ、2015年に米・カリフォルニア州オークランドに本社がある『ブルーボトルコーヒー』の海外進出1号店が清澄白河にできて、一躍有名になりました」

 コーヒーをテイクアウトして清澄庭園に木場公園、東京都現代美術館など、ぶらぶら歩くのも楽しい。「毎日お店で飲むソイラテが元気の源」と言う清澄白河在住の本誌デスクがすすめる人気店で、ペーパーフィルターを使ったドリップコーヒーのいれ方を取材した。
「清澄白河で最も家庭的なお店」と言われる「sunday zoo」。夫婦で週末のみ営業の小さなカフェ。店主の奥野喜治さんは開店するまで10年間、「おいしいコーヒーを飲みたくて」自宅で手網を使って焙煎(ばいせん)を試行錯誤していた。

 人柄がその一杯ににじみ出るような優しい味わいはオープン以来地域に愛され、7年経った今も途切れることなく客が訪れる。前出の川口さんも「にこやかで、コーヒーのみならず人生全般に関する知識も豊富な人生の先輩」と信頼を寄せる。

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