というわけで、週刊朝日創刊99周年にあたり、松本さんにインタビューした。最初に、「連載時のタイトルを覚えていますか」と尋ねると、「えー、『遺書』じゃなかったんでしたっけ?」。はい、「遺書」ではありません。正解は、「オフオフ・ダウンタウン」。仕事を離れた日々の出来事を何となくつづる。そんなよくある芸能人コラムを予想、編集部がつけたタイトルだった。

 そう松本さんに説明したら、ツイッターの話になった。2013年から始め、現在810万人のフォロワーを持つ松本さんだが、投稿はあまり多くない。2日に1度、4、5日空くこともある。

 連載もツイッターもいざ書くとなると、「根が真面目なので」流すことができないという。「ツイッターなんて本来、軽ーくつぶやくものなのに、残るもんやと思うと考えてしまう。だから回数も少なくて。スローボールが投げられない人なんですよね。ま、変なナルシシストなんでしょうね」

 そう言って松本さんは笑ったが、驚いた。「スローボールが投げられない」「ナルシシスト」という自己分析、「オフオフ・ダウンタウン」にも出てきたからだ。そう指摘すると、「嘘ばっか書いてたはずなのになー」と笑ってから、こう言った。

「根本は変わってないんですよね。僕の中で、魂みたいな部分は、全然変わってないです」

 松本さんが連載で何度も書いたのは視聴率、そしてテレビの「将来」だった。なにしろ初回の書き出しがこうだったのだ。

<テレビ番組雑誌には必ず「視聴率ベスト10」などという胸クソの悪いページがある>

 この瞬間、お笑いコンビ「ダウンタウン」の「オフ」の話=オフオフ・ダウンタウンという編集部の予想は見事に外れたわけだが、それはさておき、原稿はこう続いた。

<タレントがこれを意識しだすと、これはもう最悪で、テレビというものがどんどんワンパターン化し、つまらなくなるのではないのか。お笑い番組がいちばん困りものだ。だいたい、笑いなんて、百人中百人が笑うことは、ほんとうはそんなにおもしろいことではないのだ>

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