ミッツ・マングローブ「頑張れ!聖子!聖子の名にかけて!」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「頑張れ!聖子!聖子の名にかけて!」

連載「アイドルを性せ!」

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ミッツ・マングローブさん

ミッツ・マングローブさん

イラスト/ミッツ・マングローブ

イラスト/ミッツ・マングローブ

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、橋本聖子さんについて。

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 聖子と言えば松田聖子。この方程式に異論を唱える人はいないでしょう。40年以上にわたり「聖子市場」を独占し、「聖子」という名前に確固たる先入観と呪縛を植え付けてきた聖子ちゃん。もはや字面や音の響きに接しただけで、ほとんどの日本人が「可憐」「ぶりっ子」「ファンシー」「メルヘン」といった世界を連想してしまう。その圧倒的な威力の前では、「名は体を表す」なんて故事ことわざも音を立てて崩れるのみです。後にも先にもこんな罪深い名前はないかもしれません。

 一方で、聖子ちゃんの牙城を脅かすべく「アナザー聖子」の登場に、私たちは幾度となく胸を躍らせてきました。キャリアとビジュアルにおいては、彼女こそが「真の聖子」との呼び声も高い作家の田辺聖子さん。初の女性総理候補として定期的に名前が挙がる野田聖子さん。女子レスリング界で輝かしい功績を残し、今やダルビッシュ夫人として君臨する山本聖子さん。さらには、この私と母娘という甚だ不条理な設定も見事に演じ切るミュージカル界のモンスター歌姫・新妻聖子さんなど、華麗なる活躍をする聖子たちが数多いらっしゃいます。「聖子」の重責なのか、はたまた宿命なのか、心なしか皆さん強そうな方たちばかり。

 中でも、過去もっとも聖子ちゃんに肉薄した聖子と言えば橋本聖子さんではないでしょうか。日本の女子スピードスケートの第一人者であることは言わずもがな、夏場のトレーニング用に取り入れた自転車競技でも才能を開花させた結果、冬季・夏季合わせて7回ものオリンピックに出場した最強レジェンドのひとりです。

 80年代から90年代にかけて、日本のオリンピックは常に「橋本聖子」とともに在ったと言っても過言ではありません。84年のサラエボ冬季大会を皮切りに毎回メダルを期待されるも、なかなか結果を出せずにいた80年代。冬季3度目となったアルベールビル大会(92年)で悲願の銅メダル(冬季五輪では日本人女子初)を獲得した際には、日本中が「ようやく橋本聖子が報われた」という安堵感に包まれたものです。


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