SNSの相談窓口もある。その一つがNPO「あなたのいばしょ」のチャット相談で、慶応義塾大学3年の大空幸星(こうき)さんが昨年3月に立ち上げた。

 毎日24時間、対応する。相談件数は昨年12月末までに2万9千近くに達した。「ほかに相談相手がいなくて、ここに相談に来た」といった声が寄せられているという。相談に来る人の8割は10、20代が占めるが、高齢者でもスマートフォンで簡単にチャットができる。書けば意外と悩みを打ち明けられる。

 新型コロナの感染拡大が落ち着いたら、人と会って話をしたいという人もいるだろう。自治体の窓口に聞いたり、民間が提供するサービスを利用したりするのもいい。

「多くの自治体で(高齢者らが集まる)サロン・カフェ、各種教室・交流事業が行われています。近年、企業、団体、有志による生きがい創出、孤独・孤立防止のための『居場所・仲間づくり』『就労支援』なども始まっています」(みずほ情報総研の羽田圭子チーフコンサルタント)

 民間の例でいえば、ドラッグストア大手・ウエルシア薬局の「ウエルカフェ」というフリースペースを利用するのもいいだろう。系列を含め全国約2千店舗のうち330店舗近くにある。高齢者らが健康相談や手芸教室といったさまざまな活動に利用している。

 早稲田大学の石田光規教授(社会学)は言う。

「開かれた場を作り、来たい人は来てくださいと言っても、孤独な人はなかなか来ません。でも、飲食スペースがあると、(孤独な人も含め)誰もが来ます。全体から見るとまだ小さな動きではありますが、徒歩圏内のところにそういうのがあるといいですね」

 大空さんは国として孤独・孤立対策に取り組むことを求め、昨年12月に政策提言を自民党の青年局に持ち込んだ。

「孤独対策の法制化と大臣の設置をお願いしています。孤独の定義も統計もないので、まず作ってほしいです」

 菅義偉首相は2月12日、坂本哲志地方創生担当相に孤独・孤立問題を担当するよう指示した。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年2月26日号