アネモネ【花一華、牡丹一華】(左)、フタリシズカ【二人静】
アネモネ【花一華、牡丹一華】(左)、フタリシズカ【二人静】

 パズルを解いて漢字にも強くなる! 難易度別パズル30問をはじめ、「漢字の成り立ち」「漢字うんちく」「難珍駅名旅気分」などの連載も充実の漢字パズル誌「みんなの漢字」。ここでは2021年3月号の特集記事をピックアップ。

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寒さが和らぎ、暖かい陽気とともに草木が芽吹き、野山や公園が色とりどりの花であふれる春。身近な春の花の知っているようで知らない漢字、その名前の由来などを紹介します。

 日本で親しまれている花には、外国から入ってきたものが多くあります。明治時代以降は、西洋の草花が日本にも定着し、中でもアネモネやチューリップ、ヒヤシンス、スイートピー、ダリアなどの植物が人気を博したと言われています。現代では、外国名をそのままカタカナにして呼ぶことが多いようですが、渡来した当時は、その草花の特徴や見た目を元に、和名をつけ、漢字を当てて親しんできました。

 一方で、日本古来の草木にも、その姿形や特徴が分かる名前をつけ、その花に託して和歌を歌い、その美しさを愛でてきたものがあります。

 草木や花の名前の漢字には、植物を愛でる日本人の想いが込められているようにも思えます。春の季節、身近な草木にちょっと目を向けてみませんか。

■アネモネ【花一華(はないちげ)、牡丹一華(ぼたんいちげ)】

 1本の茎に一輪の花を咲かせるアネモネ。その姿から「花一華」や、ボタンに似ていることから「牡丹一華」の異名があります。「一華」は、仏教では悟りを求める心にたとえられ、禅宗の開祖・達磨大師は「一華開五葉 結果自然成」(一輪の花が五枚の花弁を開き、やがて実を結ぶ)という言葉を残しています。

■チューリップ【鬱金香(うこんこう)】

 チューリップといえばオランダを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、原産地はトルコ。トルコ語で「ターバン」を意味する「tulipan(チューリパン)」が名前の由来です。日本には幕末に伝わったとされ、ウコンのような香りがすることから「鬱金香」と呼ばれました。

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