1月16日に東京都内の試験会場で行われた英語(リスニング)の試験(C)朝日新聞社
1月16日に東京都内の試験会場で行われた英語(リスニング)の試験(C)朝日新聞社

 大学入学共通テストの会場で1月16日、男性の受験生(49)が鼻をマスクで覆わず失格とされた問題は警察沙汰にまで発展していた。

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 警視庁は男性が試験終了後、試験会場のトイレに4時間近く閉じこもったとして建造物不退去容疑で現行犯逮捕したが、すでに釈放している。

 騒動は受験会場となっていた、東京都江東区の東京海洋大学越中島キャンパスで起こった。同じ試験会場にいた受験生によると、男性は試験が開始されたときから、様子がおかしかったという。受験生は本誌にこう語った。

「本当に迷惑でした。最初から、セキを何度も繰り返していたのですが、わざとらしい。嫌だなと思ったら、こんな騒ぎです。集中できず、困りました」

 受験生らから詳しく会場の様子を聞き取った塾の教師もこう証言する。

「セキをわざとらしく何度もするので、会場では目立ったそうです。試験がはじめって、20分か30分くらいで、監督者が『マスクを鼻までしてください』と注意をはじめた。しかし、男性は従う様子はなく『これでいい』などと反抗していたそうです。その後も、監督者に反抗していたそうです」

 休憩時間になると、監督者だけではなく、責任者と思われる人なども加わって、男性に注意していたという。それでも、男性はこう捲し立てたという。

「いつもこの着用だ」

「(鼻まで着用すると)息苦しい。眼鏡が曇ってしまう」

 午後は外国語の試験があった。男性はその後も監督者らの指示には
従わず、鼻までマスクをすることはなかった。監督者は注意を繰り返したが、それでも従わない男性。注意は7回に及んだ。

「外国語の試験の時に、監督者や責任者らしい人が何人か入ってきた。『マスクを正しくして』などと言っていたが『しています』と男性は、また文句を言いはじめた。『試験が受けられなくなりますよ』『無効になる』『場所を移動しませんか』とかも監督者は言っていた。しかし、従う様子はなかったそうです。しばらくして英語のリーディングの試験中にもかかわらず、男性ひとりを会場に残して『別室に移ってもらいます』といわれて教室をかわった。その時も男性は『うるさい』と口論はますますひどくなっていた。外国語はリスニング、ヒアリングがあります。とても敏感になる科目。男性と監督者がもめるたびに集中できなかったそうです」(前出の塾の教師)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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