木村:IQは高いと思いますよ。記者会見なんか見てると、頭の回転が非常に速い人で、言葉づかいは荒っぽいですけど、わざとそういう言葉を使っているように僕には見えますね。だから彼と波長が合うアメリカ人が多いです。これからいろいろありますが、僕は商売繁盛だなと思って見てます。

林:うれしそうなお顔をされましたね。バイデンさんが大統領になって、木村さんの出番がいっぱい出てくる?

木村:でしょうね。僕、中東のことに比較的関心があって、いろいろ調べてるんですが、中東がちょっと荒れ模様になってきたんで。

林:イランですか。

木村:はい。このあいだイランの核開発の父と言われる男が暗殺されましたけど、その暗殺のされ方がすごいんですよ。3台の車の真ん中に彼が運転している車があって、両側に護衛がついて、テヘラン郊外の無人の道をダーッと走ってたんです。

林:ええ。

木村:先頭の車がいきなり射撃を受けて止まったら、150メートル離れたところにトラックが止まっていて、その荷台にあった機関銃がダダダッと撃ち始めたんです。3分間射撃して、そこにいた全員を殺しちゃって、終わったとたんにドーンと自爆して、証拠も何もなくなったんです。人影一つない。たぶん衛星でリモートコントロールしてたんです。

林:そんなことできるんですか。私は「ゴルゴ13」みたいな人が狙ったと思ってましたけど(笑)。

木村:「モサド」(イスラエルの対外諜報機関)以外にはあり得ないです。

林:ほぉ~、すごい話ですね。

※【木村太郎は“元祖”帰国子女 英語堪能な姉は戦争に翻弄させられ】へ続く

木村太郎(きむら・たろう)/1938年、米国カリフォルニア州生まれ。64年、慶応義塾大学法学部卒業後、NHKに入局。報道記者として、神戸に赴任後、社会部勤務となり、ベイルート、ジュネーブ、ワシントンで海外特派員を経験。82年から看板ニュース「ニュースセンター9時」のメインキャスターとして人気を博した後、フリーに転身。現在、フジテレビ系「Mr.サンデー」などの報道番組でコメンテーターを務めるほか、コミュニティーFM放送(湘南ビーチFM)の代表も務める。東京新聞でコラム「太郎の国際通信」執筆中。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2020年12月25日号より抜粋