吉川貴盛元農水相(C)朝日新聞社
吉川貴盛元農水相(C)朝日新聞社

 自民党の吉川貴盛元農水相(70)=北海道2区=が、養鶏会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の元代表から数回にわたって、計500万円を受け取った疑いがあることが、東京地検特捜部の捜査でわかった。

 疑惑が浮上したきっかけは、昨年7月に公職選挙法違反(買収)で逮捕された元法相で衆院議員の河井克行被告と妻で参院議員の河井案里被告の事件。河井夫妻の後援者だったアキタフーズに東京地検特捜部が家宅捜索に入り、押収した資料から端緒を掴んだという。

 元代表は長く日本養鶏協会の役員を務め、業界の“ドン”の一人という。日本養鶏協会の幹部が証言する。

「とりわけ政治家と太いパイプを持ち、業界に強い影響力がある。そのため、元代表の周辺では、常に政治とカネのウワサがあった」

 吉川議員は2018年10月から2019年9月まで農水相を務めた。その間、3回にわたり計5百万円を受け取ったという。アキタフーズの関係者によれば、元代表は河井克行被告の紹介で、吉川氏と知り合ったという。

 近年、家畜を快適な環境下で飼養することにより、そのストレスや疾病を減らす「アニマルウェルフェア」が国際的に打ち出されている。
ニワトリをケージで飼育する日本の方法が、国際的に批判を浴びていた。

 今年3月、農水省は「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について」を発表。

「アニマルウフェルフェアの内容が、養鶏業界について厳しくならないように、便宜を図ってもらうために吉川元農水相に近づき、見返りに現金を渡したのではないか。また養鶏業界の補助金についても、何らか依頼をしていた形跡もある」(捜査関係者)

 本誌は吉川元農水相の政治とカネの疑惑をこれまで2度、追及している。2016年6月、吉川元農水相はTPPの国際交渉派遣団に参加。その際、日本養鶏協会の会長(当時)から数十万円の現金を受け取っていた。(当時、吉川氏は疑惑を否定)。そして18年11月には、北海道で立件された太陽光発電システムをめぐる詐欺事件の裁判でも関与が取りざたされた。

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「なぜ、うちばかり」と嘆く二階派幹部